ネタ帳vol.3
2023ネタ帳53:OA世界の中華組
01/14 17:24
私には5人の兄代わりみたいな人がいた。家族はいなかったが、彼らはある意味家族の代わりのようなものだった。皆それぞれ何かに秀で、皆それぞれ私に知識を与えた。そうして国のために働くはずだった私は、燃えて崩れる船から川に落ちーーこの世界にたどり着いたのである。
目の前にある桜蘭の門は近淵と呼ばれる異界に繋がっている。竜人がいる海の中の国もあれば、羽が生えた人がいる木の上にある国もある。たまに思うのだ。私がこの世界にたどり着いたように、この扉が元の世界に繋がることはないのだろうか、と。
「李章殿?」
そう尋ねた諸葛殿にいいえと首を振る。
「不思議な扉もあるものだと。どのような術が使われているのか非常に気になりまして」
「おや、貴方ほどの方でもわかりかねますか」
「はい。私はこの世界の中を短時間行き来する術はあれど、異界に繋ぐ術を持ちませんから」
そう肩をすくめる。彼も友人と同じ名を持つ人だ。でも、同じ名を持つ人がいるだけで違う人なのである。
「李章殿、貴方は……」
何かを言いかけた諸葛殿の言葉を遮るように、李子さん、と、あの子達がかけてくる。思考を切り替えて、どうされましたか?と尋ねれば、彼は自分も異界に行きたいのだというのだが。
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ショックを受けてるなぁと思う。徐庶が机に項垂れている。李子さんにこびどく振られたらしい。いや、振られたというのは間違いか。李子さんと陸治さんには超えてはいけない一線がある。俺は二人の弟弟子だからというか、境遇を知っているから触れても何もいわないだけで。恐らく徐庶はその一線を越えようとしたのだろう。時たま誰かが越えようとして拒絶されている。まぁ、李子さんは普段拒絶するにもやんわり相手が傷つかない言葉を選ぶのだが、恐らくは酒の席だったとみる。
「なんて?」
「俺じゃないって言われた……」
そう言って徐庶は手元にある盃を触った。仲良くなれると思ったんだけどなぁ、と告げた徐庶に、結構仲良いじゃんとかえす。もっとだよ、と言われたがもっとってどれくらいだよ。
「無理に決まってるでしょう」
そうぽこぽこ怒っているのは荀攸である。荀ケや郭嘉殿でも仲良くなれないから無理です。ばっさりと断る理由がまた理由な気はするが。それにしても、「貴方で仲良くなれていたら他はもっと仲良くなっています」という彼はなかなか熾烈だ。
「荀攸殿も何か言われたのかい?」
「僕は何も」
そりゃそうだ。李子さんの兄のような人は李子さんよりきちんと大人兄見えるのに対し、こちらの荀ケは李子さんの弟にしか見えない。李子さんは恐らく可愛いがっているのである。
「荀攸は可愛いから李子さんは結構甘やかしてる」
「はぁ?」
こういうところはまったく可愛いくないが。ぽこぽこと怒っていても李子さんが「仕方ないなぁ」と和んでいるあたり張郃と荀攸は甘やかす人員なのだろう。
「まさか、李子殿はこういう系が好み?」
「いや、可愛いから一挙一動に和んでるだけだと思う」
「僕のどこが。第一、李子殿には触れられたくないことがあるのでしょう。誰にもそのようなことはあります。どうせ貴方はずけずけとそれに触れたんでしょう」
的をいている。さすが俺の世界でも出来ている人間と称された人である。囲碁と叔父が絡まなければ彼はこうなのだ。うむうむと頷く。
「でもさ、踏み込まないと分からないこともあるだろ」
「そういう時は向こうが切り出すのを待つものです」
そう言った荀攸に、普段はあれだけど人間できてるんだよなぁと思えば口から出てたらしい。怒られる羽目になった。
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たまに、だ。たまにこの人はある一定の人を拒絶をする。普段はわかりにくい分、酔っているとわかりやすいそれだ。何故かはわからない。誰かが聞いたとてそれは彼女の琴線に触れるからだ。それならば、触れないで穏やかに過ごした方が良いのだろう。普通の人ならそう思う。嫌われるよりはマシだ、と。
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桜蘭の門がまた違う世界と繋がってしまったらしい。近淵と呼ばれる世界とつながるこの門は戦国時代と繋がったこともある門で、どこと繋がってもおかしくはないのだが、その先にいた人たちが問題だった。どうやら同じ勢力、同じ名を持つ人がいるがその全てが違う人、らしい。恐らくそれは向こうも同じであるはずだ。その報告をきいておれは李子さんと陸治さんをみる。陸治さんはやれやれという風に頭をかき、李子さんはただその報告をきいてしずかに手を止めた。
「仮にそうだとして」
陸治さんは仮定の部分をまるっと飛ばしそうつげる。俺は通じるのでそのまま聞くが。星辰達が首をかしげる。
「どうするんだ?恐らく敵じゃないとは思うが、今のままならお互い敵認識だろ」
そう言った陸治さんに李子さんはそうですねと目を伏せた。
「違うかもしれません。会ってみないことには手の打ちようがありません」
李子さんはそう言って目を伏せた。そりゃそうだ。
「俺がみてこようか?多分俺ならいける気がする。李子さんの転移術でパパッと」
「……それが一番確かか」
陸治さんはため息をついて立ち上がる。李子殿、頼むと言われ李子殿は頷いたのだけども。
ああーー、殺伐としてらっしゃる。お互い睨み合い状態である。門を潜らなければいい話だからかお互い多分門の手前で進軍をとめている。同名、なおかつ同じ国を名乗るのだ。あちらはあちらで、こちらは天刑宗とかで疑っても仕方がない。
「寵沙が来たか」
「ちわっす、曹操さん、劉備さん、孫堅さん」
そう言ってひらりと手を振る。3人は頷いたが。劉備さんがこちらをみおろした。
「李子殿は?」
「清河」
「お前に交渉が似合うとは思わないが」
「先に俺が様子を見ることになった。同じ名前で同じ所属、違う人がいるんでしょ?」
門の中を覗けばやはり無双陣営っぽい。服を見るに8の服装だが、持っているのは七の武器だ。いや、いないのは8の武器を持ってるが。ワクワクしたように門をみているのは満寵ではないだろうか。とりあえず満寵がワクワクが抑え切れないからか門に近づいてきたので、俺も近づくとする。徐晃がおってきているが。
「こんにちは」
「おや、友好的な人がきたね。妖魔ではなさそうだ。私は満寵、魏に属しているよ。もっとも同じ名前の人がそちらにもいるから知ってるかもね」
「こっちの満寵さんはどっちかっていうと刑所勤務ぽいですよ。俺は寵沙。清河城の城主、今のところ独立勢力で色々なことに手を貸してる」
「おっと敬語を使った方が?」
「気にしてないよ。おれも砕けた物言いしてるし」
そう返せば、君がそう言う人で良かったよ、と彼はつげる。まぁ下手をしたら首を飛ばされるやつである。
「寵沙、私たちにとってはこの門はいきなり現れたものなんだけど君たちが何かしたのかい?こんな技術はじめてみたよ!」
そう興奮したように告げる満寵に俺は苦笑いする。
「いや、俺たちもよくわからないんだ。大昔の人が作って、近淵って呼ばれる違う世界に繋がるってことくらい。普段は違う世界に繋がってるんだけど……」
そう答えれば彼は少し考える。
「なるほど、何かの拍子に私たちの世界に繋がってしまった、ということかな?悪いね、一度妖魔という存在によって私たちの偽物騒ぎがあったからこちらも警戒していてね」
「俺んとこも天刑宗って奴らのせいで色々あるから警戒してるだけだから気にしないで」
「なぜか繋がってしまった以上お互いに情報を交換した方がいいかな?技術とか城とか色々ね!」
「妖魔の情報ほしい」
そう言っていればお互いに名前を呼ばれる。気にするなと手を振っていればまた、今度は怒られる。様子を伺っていたらしいこちらの荀攸とあちらの徐晃殿がきたが。
「貴方には交渉は不向きですよ。何してるんですか」
「いや、荀攸さん、この人達敵じゃないって俺の勘が言ってる」
「はぁ?」
でたよ、この苦々しい「はぁ?」が。
「こちらの荀攸殿も小柄だね」
「喧嘩売ってるんですか?」
荀攸がぴくりと反応しながら無双満寵を見上げる。こちらの荀攸殿とは結構違うなぁとぼやいた彼は小さいのは似てるけどと告げた。いや多分こっちの荀攸の方が多分小さい。荀攸は少し考えた。そして口を開く。
「……通りで貴方がくるはずです。どうせお二人に偵察を頼まれたんでしょう」
「え?」
「李子殿が違う場所からいらしていることは僕も聞いてます。寵沙殿、李子殿を連れてきたらどうです?あちら側はあの人の故郷なんでしょう」
荀攸はバッサリとそう告げた。李子殿?と首を傾げた無双満寵に俺は口を開く。
「あー、多分そっちでは李章って名乗ってる。字はナマエ。聞き覚えある?」
俺の問いかけに彼らは目を見開いた。徐晃殿が口を開く。
「……他の者と同じように同じ名の他人ではござらんか。確かにこちらの李章殿は行方知れずになっているが」
「あった方がきっと早いね。連れてきてもらうか、私を連れて行ってほしいな」
「ほら、さっさと連れてきなさい。話が進みません」
荀攸がひらひらと手を振る。まぁそうなんだけども。仕方ないと李子さんや陸治さんに対して仙術で連絡をとばす。
なんだいそれは!と目をキラキラさせた無双満寵に、仙術です、こう見えても道士なんで!と言えば、私にもできないかと詰めよられた。荀攸が面倒くさいって顔をしている。徐晃のがとめている。
「しかし、何故荀攸殿はその結論に至ったのでござろうか?」
「あの人は一定の線を越えようとした人に対して貴方じゃないと言いますから。それに触れなければ何ともならないなのに触れたがる馬鹿が多いんです」
はっきりそう告げた荀攸に、二人は目を瞬く。しばらくすれば、李子さんが来たらしい。ざわっとなった。そちらを見れば李子さんである。ただ、男装しているためこちらは物珍しくて騒いだのだろう。
「李子さーん」
そう言って手を振れば、李子さんは満寵殿達に気づいたらしい。そして、こちらも気がついた。
「李章殿!」
「伯寧殿!」
嬉しそうな声だなぁと思う。かけてきた李子さんに、満寵殿が肩をバシバシと叩いたが。
「なんだか大人っぽくなったね、李章殿」
「老けたって言いたいんですか?ああまたボタンをかけ間違えてらっしゃいます」
category:中華組関連(msu・oa)