「ねぇ、ザッキー。君の妹って何者なんだい?」
「何者って、普通の」
普通の高校生、と言おうとした。
が、そこで止まる。
アイツは確かに普通じゃない。
例の氷鬼が終わり、へたり込むように地面に座っている俺達をよそにナツは監督と何か話している。
「あんなに上手いのに、女子プロとかに行かないんですか?」
「椿、それアイツの前では禁句」
「どうしてだい?」
「さぁ。俺はわかんないッス。アイツは中学の時から女子の強豪高校に誘われも蹴ってますし、プロからスカウトきても蹴ってますから」
えー、なんで、と言われても、何とも言えない。俺にアイツの思考回路を読むなんて事は無理だ。
そういうとこで、監督に似てるのかもしれない。
黙っていた村越さんが口を開いた。
「実力は本物、という事だな」
「……そうッスね」
「小さい頃からあんな感じなんスか?」
椿に言われて昔を思い浮かべる。
小さい頃。
ウザイくらいに俺の後ろをつけまわって、すぐ体調崩して、すぐ泣いてた。
「いや、全然。中学出てからあんな感じになった」
「それまでは?」
「俺の後ろをつけまわるし、すぐ体調崩すし、すぐ泣く奴でしたよ」
「それまではちゃんとお兄ちゃんしてたんだね、ザッキー」
「だから所々赤崎に似てるわけだ」
「ドリさん、俺とアイツは似てないッス」
ドリさんにそう言い、もう一度ナツのほうを見る。
「仲いいね、ナツとタッツミー」
「ちょ、王子、何で妹の名前知ってるんですか」
「さっき聞いたんだよ。ねぇ、どうする? ザッキー。タッツミーとナツが付き合ったら」
「……」
赤崎妹の、話
(……別にどうもしませんけど、あの人が義理の兄になるのはちょっと……)
(じゃ、僕は?)
(!!?)
よけいイヤだ。
10
SQUELCH!!