古今東西英雄無双(2)
日本での暮らしというのは、西洋文化に親しんだこの体では中々難しい。しかも、過去の日本での暮らしになれば余計に、だ。
ナマエが過去に来て三月がたった。ありがたいことに、ナマエの銃の腕を買ったのか、医学の腕を買ったのか、はたまた異人だったからか理由はわからないが、そこら一帯の主である少年こと伊達政宗が召し抱えてくれた。もう一人の男は雑賀孫市といって、鉄砲打ちの名手らしい。ナマエも火縄銃を一度借りたが、流石に銃に比べて扱いにくい。孫市とは所謂ギブアンドテイクな仲だ。ナマエがCQCやら、持っていた銃を貸す代わりに、孫市には火縄銃の扱い方や生活について色々教えてもらっている。政宗がいうに、孫市は女癖が悪いらしいが、カズのそれを知っていれば彼のそれは可愛らしいものに思えた。
今日も庭に面する縁側に腰掛け、孫市と雑談をする。政宗は仕事だ。
「しっかし、ナマエもかなり日ノ本に馴染んだな」
「そう?」
「あぁ、言葉もちゃんとしてきたしな」
ぐしゃぐしゃと頭を撫でられ、ナマエは複雑そうに眉をひそめる。
「私、孫市と、年、近い気がする。むしろ、きっと、私の方が年上な気がする」
「嘘だろ!?」
ぐしゃぐしゃと頭を撫でる孫市に抗議するようにそういえば、孫市は驚く。そして、上から下までナマエを見た。確かに、見た目は年が孫市と変わらなく見える。可愛いというよりは美人だし、日ノ本にはいない美人系統だ。しかし、言葉やらを考えるとどうも年下に思えてしまうのが実情だ。
「孫市、酷いな」
むっと口を尖らせる様子はまさに子供だ。孫市はそれが子供に見えるんだよな、と思いつつも笑う。
「それより、ナマエ。元の国に戻る手配はできたのか」
「できてない。帰れない」
孫市の言葉に、ナマエは拗ねていた顔からすぐに真顔へと変える。どうやらわざとそういった表情を浮かべていたらしい。
「帰りたくないのか?」
「帰りたい。でも、帰り方わかんない」
「船に乗せてもらえばいいじゃねぇか」
「違う。私が帰るところは、bossのところ。でも、この世界中探してもきっといない」
「ぼ?」
「あぁ、うーんと、じょし?」
「女子か?」
「違う、じょーし?」
「あぁ、上司な。どっかに仕えてたのか?」
孫市の問いかけにナマエはまたふるふると首を振る。
「孫市と一緒」
「傭兵か?」
「そ」
ナマエの返答を聞いた孫市は、何か思いついたのか無精髭を触る。そんな孫市にナマエは首をかしげて見つめた。