古今東西英雄無双(3) 


 どうしてこんな辺鄙な場所にいるのだろう。
 辺りを見渡してナマエは頭を抱えたくなった。辺りに広がるのは森で間違いないのだが見覚えがない。ということは奥州ではない。コスタリカやソ連付近のそこでもなさそうだ。先程まで一緒にいたはずの孫市はいないし、政宗もいない。ナマエはため息をついた。また、変なことが起こってしまったらしい。別に身の危険を感じただとかそういうことはなかったはずだ。

「は?」

 ナマエは違和感を抱き、自分の服を見た。それは先程まで来ていたはずの着物ではない。MSFの隊服に白衣をまとっている姿だった。慌てて手持ち品を確認する。バックパックには医療品と携帯食料、そしてサバイバルナイフや武器がはいっている。足元にはアサルトライフルだ。ナマエは顔を顰めた。戻って来たならば嬉しい話だが、周りの気候が違う点を考えるとまだ日ノ本にいるはずだ。
 とりあえず、辺りを探らなければ意味がないかとナマエは森の奥に足を勧める。人の子一人みつからない、不気味な森だった。




 がさり、と茂みが揺れナマエは素早くそちらに銃口を向けた。

「ナマエ!?」

 そこに現れた人物にナマエは顔を顰めて銃口を下げた。その人物はズカズカとナマエに近寄ると、ナマエだよな、としげしげと見つめてくる。ナマエは肯定ついでに頷くと、その人物――孫市はほっと息を吐いた。

「ったく、何処に行ってたんだよ! いなくなるし、政宗に聞いてもいないっつーし」
「こちらから言えばいなくなったのは孫市ですよ。と言うか、孫市、英語を喋れたんですね」
「は?」
「え?」

 孫市の返答にナマエは首を傾げた。先程から孫市の口から出る言葉は全てナマエの慣れ親しんだ英語だ。しかし、当の本人は理解できないというようにナマエの言葉に首を傾げている。

「それはこっちのセリフだぜ、ナマエ。そんなにペラペラ日ノ本の言葉が喋れたんだな」
「いえ、私が喋っているのは貴方からすれば南蛮語ですよ」
「は?」
「え?」

二人して顔を顰める。これは、どういうことなのだろうか。