奇術師愛好会殺人事件02
「はじめまして、いつもヤマトがお世話になっております。飯塚アキです」
「ええ!? 本当にこのガキンチョのお姉さん?」
「はい、」
にこり、と笑ったアキに、驚く園子嬢と蘭さんとコナン。悪かったな、似てなくて。そんなことを思いながら口を開く。
「こう見えて、アキは蘭さんや園子嬢と同い年だぜ?」
そう告げれば、また驚かれる。アキが「ははは、老けててすいません」と謝っていたが、そういう問題じゃないと思う。それから段々と女子トークに移りはじめたアキと園子嬢、蘭さんから目を離し、隣にいたコナンを見る。
「お前のお姉さん、マジで蘭達と同い年かよ」
「まじまじ。不動高校の二年だし」
「不動高校? また、遠い場所にある高校に通ってるんだな」
「あぁ、去年まで俺らは不動に住んでたんだよ。引っ越してもアキの友達は向こうにいるし、それで引き続き不動高校に、って感じだ」
「なるほど」
納得したらしいコナンに、何時もながら「コイツ、新一であることを俺に隠す気ねぇな」と思う。最近、灰原と共に俺を同類認定されてる気がしないでもない。確かに縮んでいるので「頭脳は大人、体は子供」なんだが。……乾いた笑いがでるわ。
「つーか、お前、風邪大丈夫なのか?」
「大丈夫だよ、これくらい。蘭を一人で行かせれるわけねーだろ」
「さよか」
はっきり言い切ったコナンに、そんなことしなくても蘭さんの一番はおめーだよ、と思ってしまったのは仕方が無いことだろう。さっさとくっつけ、工藤新一。そして爆発しろ。
毛利探偵の車に乗せられ、森の中を移動する。その間に園子嬢が見せたマジックを微笑ましそうに見つめていたアキは、トリックを解き明かしてしまったコナンに微笑んだまま口を開く。
「蘭さんのような騙され役もマジックには必要なんだよ、コナンくん。その点でいくと、君はマジシャンにとって厄介な客みたいだね」
「ははは」
「そういえば、アキちゃん、マジックが得意って本当?」
「うん、」
「見せて見せて!」
そういった園子嬢にアキは少し考えた後、被っていた帽子を脱いだ。種も仕掛けもありません、とばかり帽子を一回転させると四人分の薔薇を取り出す。わぁ、と歓声を上げた二人と、素直に驚くコナンに「コイツも驚くんだな」などと思う。一輪ずつ俺たちに真っ白な薔薇を渡したアキは「わん、つー、すりー」のカウントとともに指を鳴らした。すると、じわりじわりと黄色や赤に染まっていく薔薇。
「すごーい!アキちゃん、本当のマジシャンみたい!」
「私の幼馴染の一人が手品師なんです。小さい頃から教えてもらってて……」
そういうアキの表情は、穏やかだ。今はアメリカだか日本だか知らないが、何処かにいる高遠のことを思い浮かべているのだろう。一応、高遠も幼馴染に入るだろうし。相変わらず、高遠の話題になると素の敬語が出てるようだ。
「アキちゃん、敬語!」
「ご、ごめん! つい癖で、」
困ったように苦笑いするアキにこちらも苦笑いをする。相変わらず猫かぶりがうまいことで。