奇術師愛好会殺人事件03
たどり着いたロッジは、吊橋を渡らなければならないという、何か起こるだろフラグが完璧に立っているロッジだ。いや、コナンがいる=殺人事件おこるかもフラグを強力にする材料だ。吊橋を渡って、ロッジにたどり着く。出迎えた「腹話術師」のハンドルネームを持つ男性に、堂々と「魔法使いの弟子」と当てられてしまった園子嬢を見て苦笑いしていると、アキが首を傾げているのが見えた。その男性がアキを見る。
「おや、貴方は……」
「……えっと、もしかして、これってまさか、奇術愛好会のオフ会なんですか? 」
あれ?と首を傾げる。とあるチャット、とは言ってはいるが、『奇術愛好会』であるとは告げていない。と、なれば、考えられることはひとつだろう。アキがそのチャットに参加していた、ということだ。
「ええ。貴方は影法師さんですか?」
「あぁ、いえ、私は参加できない、とメールを返信してしまった人間で……」
「え、じゃあ、まさか、貴方はマリオネットさんですか?」
「ええ」
苦笑いをしたアキ。断った理由は大方俺だろう。アキは俺を心配して金田一達にどこかへ誘われても断っている。確かに、アキがいないと俺は家事ができないので困るが、それでももう少し自由に生きてくれてもいいと思う。
「え、そうだったんだ! でも、なんで断っちゃったの? 」
「ヤマトを一人で家に残していけないし……」
「そっかぁ」
「いやぁ、マリオネットさんに会えるとは思っていませんでした!」
そう言った男性に、アキは苦笑いを浮かべた。そこから話題が土井塔克樹に移り、俺はアキを見上げて小声で尋ねる。
「なんでこのチャットに?」
「高遠くんから、マジシャンと関われるって聞いたんです。まぁ、その方は亡くなっちゃったんですが……でも、違ったのかもしれません」
眉を潜めたアキに首を傾げる。なんだ?アキの視線の先には、ハンドルネームがイカサマ童子の女性だ。
それから、アキは思い出したように「今回は魔法使いの弟子さんに誘われて来ました」とすぐに笑みを浮かべて告げた。
「へぇ、そうだったのね。でも、私はマリオネットさんと話したかったから嬉しいわ」
そう言って笑ったイカサマ童子の女性に、アキはキョトンとする。それから、ありがとうございます、と笑った。
それからしばらく雑談が続いたが、食事の準備をするという話になり、アキと俺や蘭さんたちはベッドのシーツを変えに向かった。ちなみにコナンは風邪だからか、毛利探偵に連れて行かれた。死神がいなくなった、が、何かは起こりそうな気がする。
ベッドのシーツを変え終わると、食事ができたとアルバイトの須釜さんが伝えに来た。俺とアキが言われた通りにダイニングに降りると最後に呼ばれたのが俺たちだったようで、みんな席についている。ちなみに、俺はアキと同じ部屋で、食事もアキが少食の分、それをもらうことになっていた。みんなから心配されたが、何時ものことだから、と言えば納得したらしい。そして、会話はいつの間にか尊敬するマジシャンになっていた。
「私は近宮玲子さん、ですかね」
「近宮玲子かぁ、」
その言葉に、ぼんやりと思考する。確か、かなり幼い頃、一般に赤ちゃんと言われる頃、親に連れられてアキと見に行ったことがある。そこから多々マジックをみにいくことがあったのだが、一番印象に残っているのは近宮玲子と、春井風伝だ。
「俺は春井風伝さん、かなぁ」
「あれ、僕、春井風伝を知ってるの?」
「うん、アキと一緒に一回見に行った。印象に残ってる」
「ははは、そりゃ、ガキにとってはそうだろうな」
そう言った消えるバニーこと浜野さんに、俺は首を傾げた。でも、あの年まで現役だなんて凄いと思うんだが。ちなみにこの話のオチは、園子嬢の怪盗キッドが一番発言によって終わってしまった。怪盗キッド、確かにかっこいいよな、と相槌を打つ。高遠とどちらが奇術師として上手なんだろうか。いや、アキとキッドが同じぐらいな気がするので、アキの師匠である高遠のほうが奇術師として上手なのかもしれない。