WhiteChapel Murder21


 目の前で逮捕されていくシンドラーという男に、高遠はすこし目を細めた。
 彼はジャック・ザ・リッパーの血を引いている、と言っていた。血を恐れた結果の犯行だったと。ゲームの中でも、ジャック・ザ・リッパーは「血」を残すことを望んでいた。残忍な殺人鬼の血を。 さて、自分はといえば、一人は善良な奇術師・近宮玲子である。問題は、父方だ。もし、自分のこの思考が血を原因とするならば、恐らく父親は『犯罪者』に似た何かなんだろうか。

「何を、考えてるんですか?」

 心配そうに見上げてきたアキに、高遠はクスリと笑う。
 自分の血を残すとして、きっと相手は彼女なんだろうと思う。自分の犯罪者の血と、彼女に流れる推理小説家の血。双方が交わればどうなるのだろうか。自分と同じような犯罪者になるのか、それとも。
 明確な返事をしない高遠にアキは余計に困惑したようである。それが可愛らしくて、高遠がクスクス笑えばアキは首を傾げた。なので、明確な答えを示すことにする。ソレを聞いた彼女の反応など、予想できるが。

「いえ、アキと私の子供はどういう子供になるんだろうか、と思っただけですよ」
「な、な、な、」

 顔を真赤に染めたアキの手を取り、警察がまだうようよといるその部屋を後にする。あれは決して居心地がいいものではない。
 結局、あそこにいる警官たちは誰一人として自分の正体を見抜かなかった。高遠遙一がこの中にいるとは思わなかったのだろうか。まぁ、どうでもいいのだが。そんなことを考えていれば、アキがどこへ行くんですか?と訪ねてきた。

「アキはどこへ行きたいですか?」
「ということは、あてもなく歩いていたんですね」
「そうなりますね」
「ヤマトが心配です」
「彼なら龍一さんが迎えに行きましたよ」
「え。」

 驚いた表情を浮かべたアキに高遠はまた笑った。

「さて、では、アキを連れ去ってしまいしょうか。アルバート・ヴィクターのように」

 そういって、指を絡める。それにきょとん、としたアキだったがすぐに笑みを浮かべた。