WhiteChapel Murder22
「目が覚めたら、現実世界だった――ってか」
ヘッドセットをとり、あたりを見渡す。嬉しそうにする子供に、その体験談を聞く大人。双方嬉しそうで何より。ふと見えたコナンの姿に、近づこうとも思ったが優作さんが来ていたのでやめた。そして、人混みに紛れて父親がいるのに気付く。仮面をつけていない今、誰も飯塚龍一だとは思わないのだろう。近づいてきた父親に、少し顔をしかめる。
「――ヤマト」
「なんだよ、」
親子の距離、ってどれくらいだっけ距離感がわからず、眉間に皺を寄せていれば父親も同じ表情をした。いや、同じとは限らないかもしれない。俺は少し嫌悪をにじませていて、相手は少し悲しみをにじませているのだから。どうして悲しみをにじませるのかもわからない。
「無事で、よかった」
「――え?」
小さく告げられた言葉に、俺は動きを止めた。父親はそれをみて、すっと俺を抱擁する。再度言われた「無事でよかった」という言葉には安堵が含まれていて。
「なんで、俺の心配なんかしてんの」
「俺も親だからな」
「俺たちをおいて行っているくせに、今更親ヅラかよ」
「――悪い」
そう告げた父親は俺を離そうとする。それが少しさみしくて、服を掴んだ。
「疲れたから、アキのとこまで連れてけ」
その言葉に、少し嬉しそうに返事をした父親。コナンいわく俺も表情を緩ませていたらしいが、そんなものは後日談、である。