序文
世間一般的には出会いと別れの季節は春であるが、僕からすれば少し違う。いや、昔はそうだったけれど、今の僕にとって、出会いの季節はすっかりと秋になった。なぜなら『彼ら』はみんな、秋にやってきたからである。
欧米では一般的、しかしながら日本にとってはまだまだ一般的ではないそれ。理由がこの異常な事態が急を要したからだということはわかっているけれど、それでもこの図書館にいる昔からの職員はざわついたものだった。それは、ただの事務員だった『僕』も同じだったけれども。
この一年、様々なことがあったな、と思う。恐らくは次の一年も様々なことが起こるのだろう。なんだって、彼らは――特務司書と呼ばれる人たちは転生した文豪達と似たり寄ったりで不思議で独特な人たちが多いからだ。
繊細な音色を奏でる好青年もいれば、嘘が下手な道化師もいるし、神隠しを拒んだ少女も、普通を模索する子も、この図書館に住む女の子もいる。そんな彼らの関わる人も文豪達でさえ独特だから、『この一年の特務司書に関する報告を紙にまとめてくれないか』なんていう喋る猫の頼み事は少し無謀じゃないかとも思ってしまった。僕は文豪でも、物書きでもないのだから。
しかし、頼まれてしまったのは仕方がない。頼まれてしまえば最後、それは僕の仕事になってしまう。拙い文章になってしまうけれど、それはどうか許して欲しい。なんたって僕は決してプロではない。先生達の書く物語と比べてしまえば、随分と陳腐な言葉の羅列になってしまうのはあたりまえだ。
まぁ、そんな堅苦しい前置きを置いて、僕は楽しくこの一年を記そうと思う。
なぜならこの一年は確かに大変だったけれど、楽しくもあったからだ。だから、報告書なんかではなく、こう記すことにする。
――「五人の司書達と文豪達の物語」と。
3
prev|INDEX|next