ハルと呼ばれる人物について、僕はほとんど知らない。スネーク曰く、アラスカでのご近所さん。恐らくは何処かの軍出身だろうとはスネークの話だ。というのも、何時もは僕らの世話をやく彼女だけど何かあればスネーク並みに実戦ができる。その何かなんて滅多にあることじゃないけれど。そして彼女は成熟していた。女性にこんな言い方はどうかと思うけれど、外見はティーンに近く見えるのに(僕もスネークも彼女の年齢は知らない)中身は落ち着いていて大人のようである。たまにぼうっとタバコの煙を眺めながら物思いに耽る表情なんかは本当に大人だった。
彼女がどうしてフィランソロピーにいるかというのは実に単純で、スネークがむやみに詮索することもなく自分の身も守れて料理ができるという条件に満たすからと連れてきたのが理由である。たしかに彼女はむやみに詮索することもなく、自分の身を守れるし、料理もできる。彼女は一つだけ条件をつけて、それを承諾した。彼女はアメリカで、行きたいところがあったらしい。
それは、墓地だった。入り口で待たされた僕らは、彼女が誰を偲んだかはわからない。ただスネークがここにはビッグボスの墓があるといっているあたり、ビッグボスを偲んだのかもしれない。
街を見た彼女が何を見て、何を感じたのかなんて、僕にはわからないのである。
「メリルに振られたんだって?」
そうからかうような声が聞こえて、パソコンから顔を上げる。スネークが眉間にシワを寄せているのが見えた。
「ダメだよ、ハル、スネークは引きずってるんだから」
「それは悪いことした」
そういう割には面白そうである。彼女はクスクスと笑う。スネークは反論にでたらしい。お前のせいで振られたようなものだぞ、とタバコを灰皿に押し付けて告げた。彼女はそれを聞いて肩をすくめる。
「責任転嫁はやめてくれ。私は何もしてないだろう?あれくらいの年頃は恋に恋するは脱しても年上を魅力的に感じるものさ。一種のフィルターをかけて君を見てたんだろう。まぁ、頑張れ」
そう言って彼女はひらりと手を振るとキッチンに向かう。それを見送ってスネークは大きくため息をついた。人の気も知らないで、と呟かれた言葉にあぁ、そういうこと、と、理解する。
彼女が誰を想っているかは知らないが、この蛇は恐らく彼女を――。
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