SQUELCH!!


白魔女と聖夜(3)



 まずは雪を降らそうと言う話になった。作物はちょうど切り替えの時期にはいり、寒さに強い野菜を植えているらしい。しかし、いきなり雪を降らせても全員の服の準備も本丸の中の準備もできていないのだ。火が怖い刀剣がいると聞いたため、暖炉はどうしたものかと思ったが、あっけらかんと大丈夫だなんて皆いうものだからナマエはそれを信じることにした。暖炉の火のくべ方を教えていれば、ならば薪が必要だと言う話になり、薪の準備も進む。服は布を見繕いつつ、加州清光や歌仙兼定達と相談しつつ大正時代のコートなどを参考にして着物でも着られるようなものを魔法でつくりあげた。一応役人には来る際は防寒してからくるようにつげ、ナマエは雪を降らせる為に、というよりは冬を訪れさせる為に夜中にこっそりと屋根に登った。
「主様?」
 そう言って同じく屋根に登ってきたのは平野藤四郎と前田藤四郎だ。ナマエはそれを見て首を傾げる。刀剣男士の多くは寝ているはずなのだ。平野がすこし眉尻を下げて口を開く。
「主様が外に出て行かれるのを見て……」
 一体何を? と尋ねた彼らに、ナマエは冬の準備をするんだよと微笑んだ。
「冬の準備ですか?」
「雪を降らさなくっちゃ」
 そう言ってナマエは指を指揮するようにふった。キラキラとした魔法の光が二人の首元や手にむかうと、それらは手袋やマフラーになる。それに驚く二人にナマエはキーブレードをどこからともなく取り出すと「雪よ」と小さくつぶやいて青白く冷たい冷気をまとわせていた光を空に撃ち放った。するとその光は空に広がっていく。青い光の粒が空全体に円を描くように広がったと思えば、冷たい風がぴゅうと吹いた。そのうちにひらりとまったのは雪だろうか。ひらひらと舞い落ちる雪にナマエは二人を見下ろした。
「これで明日には雪が積もると思うな」
 ナマエの吐く息も、空を見上げた二人の吐く息も白い。本当ですか、と少しだけ嬉しそうに声を弾ませた。
「雪だるまを作ったりできるかな」
 ナマエはそう言って手に息を吹きかける。雪だるま、と繰り返した前田に、明日一緒に作ろうとナマエは笑った。

 次の日、本丸はちょっとした騒ぎだった。起きた途端、あたり一面美しい雪景色なのだから。一部の出陣を取りやめて雪かきをしたり、そこから雪だるまや雪合戦という遊びに変わるのは時間が掛からなかったのであるが。


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