虚




はっ、はっと、犬のような息づかいと淫靡な音の響く和室と、くしゃくしゃになった着物の上で揺さぶられながら、なまえは幼い頃、夕暮れの中で幼馴染たちと、そして何より誰よりも尊敬して、愛した師と河原を歩いた遠い記憶を思い出していた。
誰よりも愛おしかった師の、かつて自分の頭を優しく撫で、己を抱き上げた腕と手は、いまでは己を拘束し、辱める為に己の躰を這っている。自分の愛した師と、その人を殺した男。同じ貌、身体、声をするその男、虚は、己の空虚な心に燻るかつて吉田松陽だったものにうっすらと笑う。師が浮かべていた弟子への慈愛に満ちた笑みはもうそこになく、今は己の下で苦しみながら、己の与える快楽を享受するなまえへ、男の貌を向けていた。
「あっ、あ"…せん、せい…」
「可哀想に、辛いでしょう、かつての師と同じ貌の男に抱かれるのは」
「っ、嫌だ…先生、せんせ、松陽せんせ…」
「やめませんよ」
虚はそう言うと、なまえの首に腕を回し、繋がるそこに深く己のソレを押し当てた。子宮入り口まで届くそれになまえは呻きながら息を吐き出すと、虚は呼吸すら許さないとでも言うように、自身の口でなまえの唇を覆った。ガッシリとした体がなまえの抵抗を許さず、激しい律動が始まる。