罪と悪




そうして私と彼は晴れて婚約者となったのだ

え?神話と話が違うって?神話も伝記も歴史も

総じて権力者や有権者はたまた著者というものが操作するのだ

という訳で彼と婚約者という立場になって一週間も立たぬ頃

私の国は刺客と貴族の裏切りにより父を亡くした

街の半分以上も被害に遭い沢山の民が命を落とした

フィアナ騎士団の活躍により刺客と裏切り者の貴族は

全て粛清され母は瀕死の重傷を負い悲しみで打ちのめされていた

とても大きく悲しく辛すぎる別れだった




それから母もなんとか回復し被害を受けた街の復興が進んだ

半年後、母の計らいにより私とディルムッドの婚約を

ディルムッドの近しい友人や身内を呼び婚約を祝う祝宴を

行ってはどうか?その日の内に彼の上司にも伝えられた


次の日母は父のいる遠い遠い所に届かぬ所に行ってしまった

母は牢獄から逃げた敵国の兵士に殺されたと騎士団長の

フィン・マックールは話していた


だけど私は知っていた彼が母を殺したのだと


それからすぐに私とフィン・マックールの婚約が

知らぬ間に城中に知らされたのだ

彼は父から私を託されたのだと話していたらしい


ディルムッドと私は引き離された

それでも私はやはり彼と生きたかった、彼と共に幸せになりたかった

婚約の祝宴のその日私は来賓の者達の杯に眠り薬を盛った

ディルムッドは私との未来を歩めぬ事

フィンを裏切ってしまう事にとても胸を痛めた

そんな彼を連れ出し、私達は歩き出した


そしてディルムッドと私は父と母の眠る墓石の前で

ゲッシュの誓いをたて、二人で城を抜け出した

後で聞いた話では母が婚約の祝宴の話を私とディルムッドに

話す前に叔父様に国を継ぐように話をしていたらしい

母はどこかで覚悟を決めていたのだろう









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