疑惑



「ナマエ」

愛しい声に反射的に振り向いて、そこに彼がいたことに遅れて動揺してしまった私に、ニッコリと貼り付けたような笑みを返してくる五条先生。たしかに表情は笑っているはずなのにサングラスの向こう側の水色は笑っていない。背筋が伸びる。私ははじめて、彼に殺されるかもしれないと思った。

強引に引っ張られるようにして、かくまった個室へと連れてこられてからドアがガチャンと閉まる音がする。ぼんやりとその一連の動作を眺める私。途端に、視界がぐらついて、ふわりとオーデコロンが鼻腔をくすぐる。そこで先生に抱きしめられたのだとわかった。





とうとう壁に追い詰められてしまった。先生と壁に挟まれる。踵が壁にコツンと当たった。冷や汗が流れる。




彼の角張った中指が割れ目をなぞった。ぬるりと愛液に浸った先生の指がなめらかに滑るのがわかる。くちゅくちゅ、と指が私のナカをかきまぜる。一緒に陰核もやさしくこすられて、あ、と喉からちいさな吐息混じりの声が漏れた。消えたくなるような羞恥心が私を襲う。ながくておおきな先生の指が、私のナカに入っている。それを頭で理解してしまった途端、身体が芯までじんと熱くなった気がした。

「どうだった?僕に黙ってのお見合いは」

熱のこもった先生の声はひどくあまくてやさしい。それが逆に、すこし怖かった。

「せんせ、怒って、ますか?」
「どうかな、君はどっちだと思う?」
「わかんな、っ、ぁ」

下着の下まで忍び込んだ先生の指先にきゅ、と頂が摘まれた。コリコリ♡と陰核がいじくりまわされる。迫りくる熱から逃れようと身を捩るも、動けば動くほど背中の壁にさらに押し付けられてしまうばかりで、逃げ場はない。あぁどうしよう、このままでは流されるままになってしまう。

「は、ぁ、待ってせんせ」
「んー、どうしよっかな」
「んッ、はぁ、せんせい」
「名前」
「んむ、さとるさ、」
「いい子」
「んん、あっ、あ、イッちゃ、ッあん!」

きゅん、と割れ目が先生の指を締めつけるように震える。ちゅぽ、と指が抜かれて、ぱくぱくと膣が快感に縮んだ。

「おっと」

膝に力が入らなくなって、かくん、と膝から倒れかけた私の身体を先生が咄嗟に抱きとめてくれる。先生の膝が足の間に入って、くちゅん、と愛蜜に濡れたショーツが滑る音がした。

「んっ……」
「大丈夫?」
「は、い」

そう少し息の切れた返事をしてから先生のシャツを握りしめる。先生を支えに私はなんとか立ち上がろうとした。でも先生がそれを支えてくれるかように足のあいだにある膝を持ち上げたから、そのまま膝ごと私の身体も押し上げられてしまって、うっかり、イったばかりのきもちいいところが強く刺激される。

「ひ、あんッ!」

また軽くイッてしまった。割れ目からあたたかいものがまた滲む。やだやだ、はずかしい。はしたない。死にたい。さっきのヘンな声、ゼッタイ先生にきかれた。顔に熱がたまる。身を捩って先生から離れようとしたいのに、やはり逃げ場はない。熱い。暑い。先生の顔なんて、とても見れなかった。

「なに今の声、僕の膝でイッちゃったの?」
「ふ、ぅ、ごめんなさい……」
「あぁ、ごめんごめん。怒ってないよ」

私は肩までボタンが外されて、下着の下からは乳房が溢れ出ている、そんなあられもない姿だというのに、先生の身なりは一つも崩れていない。それが無性に恥ずかしかった。

「かわいいね、ほんとに」


「どうしようもなくばかで」
「えと、せんせ?」


先生に馬鹿と言われてしまった。幸い、頭が良くない自覚はあるけれど、なぜ今それを笑われなければいけないのだろう。少し悲しくなった。もしかしたら既に手遅れなのかもしれないが。



「ねぇ、僕から逃げられると思ってたの?」
「え、」
「ふ、ばかだなぁ」



「逃げられるわけ、ないのにね」
「せ、せんせい?」
「んー、なぁに?」
「今、」
「ふふ、そうだよ、縛った。だから君はもう僕のもの。もう二度と僕以外受け入れられないの。ザンネーン、あと一歩、気付くのが遅かったね。」


するりとお腹を撫でられる。それって、つまり。


「可哀想なナマエ、僕に見つかったのが運の尽きだったね」
「でもは、君も悪いでしょ。気のない男に優しくしちゃ、僕みたいなヤツがみーんな勘違いしちゃうよ?」
「ベット行こうね、この僕を惚れさせた責任はとってもらわなきゃ」





あたたかい別の生物のようななにかが陰核を舐めあげる。下の先が豆の先端をコリコリ♡と刺激する。
やわらかい唇がちゅ、と吸い付いて、しかもそれが先生のものだと思うともう、ほんとうに羞恥心でおかしくなりそうだった。先生の綺麗な顔がそこにあるだけでもひどく罪悪感が募るというのに。

「っふ、あ♡」
「ン、じっとして」

先生の息がかかる。快楽から逃げるように腰を捩ればしっかりと両手で固定されてしまった。

「あ、ぁ、っあ!〜〜〜ッ!」

ガクガク、と腰がふるえる。

「ふふ、すごいね、ほら、ぐちょぐちょ」
「うっ、あ、いわないで!」




「はぁ、はぁ、もういや……」
「なにいってんの、まだ二回だよ」

まだ二回?もう二回の間違いじゃなくて?何回やるつもりなんだろうか。嫌なわけじゃないけど、これ以上またイカされるのだと思うと巨大な絶望感に打ちひしがれる。じわ、と涙が溢れた。これ以上やったら、ゼッタイ死ぬ。先生もそれに気づいたのか、ピタリと動きを止めるなりハーっ、と大きなため息をついて項垂れた。

「泣かないでよ、やりずらい」
「う、だって、」
「泣きたいのは僕の方だよ?てっきりもう恋人同士だと思ってたのに、人づてに自分の彼女がお見合いしてるって聞いたときの僕の気持ちわかる?」
「ご、ごめんなさい」
「うん、反省はしてるみたいだし今回だけは特別に許してあげる」





「安心して、その代わりきちんと身体にお仕置きしてあげるから♡」