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▼012. 時計台で待ち合わせ/丸井
20150425 012. 時計台で待ち合わせ時計の針はあと数分で真上に重なるだろう。今日が明日になる。門限に厳しい父の顔が脳裏にちらついた。
「私、帰らなくちゃ」至近距離にあったブン太の目が大きく開いた。
「もう?あと一分、」いいかけたブン太に首をふった。あと一分でも一緒にいたら、私が帰りたくなくなってしまうだろう。
繋いでいた指をほどく。胸をそっと押せば、壁と彼に挟まれた檻は解けて、体温の高いブン太から離れれば、あっという間に低くなる温度。
それをさみしいと思った瞬間、甘い匂いがふわりとそばを通った。
「送ってく」再度掴まれる手首。少し不機嫌そうにガムを膨らませた横顔。赤い髪がなびいて揺れた。
「次は泊まりでどっか行こうぜ」
親父さん説得しないとなぁ、と眉を寄せる優しさがどうしようもなくたまらない。聞き分けが悪いのは私の方だ。あと一分、キスをするには足りるだろうか?
(2018/01/02)