※君限定続き
高校に進学し羽ヶ崎灯台の近くの喫茶店でアルバイトを始めた私は、暫くしてバイト先の男の子を好きになってしまった。
彼は、佐伯くん。
はね学に通う同い年で、成績優秀容姿端麗、学校ではプリンスなんて呼ばれているような子だ。
そういえばもうここ1年はユキと佐伯くんの話かバイトの話ばかりをしている気がする。
いやどっちにしても、バイトの話しかしてないんじゃないだろうか。
「…それでね、ちょっと、ユキ聞いてるの?」
「うん聞いてる」
「今絶対聞いてなかった、私今何話してた?」
「佐伯くんだろ、聞いてるよ」
またこれだ。
最近ユキは私が佐伯くんの話をすると、聞いてるんだか聞いてないんだかよくわからない態度をすることがある。
前まではもっと私の話を楽しそうに聞いてくれて、それでユキも楽しそうにいろんな事話してくれていたのに。
2年になって少し経った辺りからユキは、変わってしまった気がする。
ユキにも、私みたいに誰か心に想う人でも出来たのかな。
恋する男はなんとやら、なんて言葉はないか。
「それで?結局どんな服で行ったの?」
「ソフィアで買った新作!すっごい可愛いのあってね、佐伯くんも良いねって言ってくれてさ」
「へぇ、じゃあ僕にも見せてよ」
「…ユキに?何か笑われそうだからやだ」
10分待ってやって来た照り焼きうどんバーガーを頬張ろうとすると前から視線を感じて、目をやると少し悲しそうな顔をしたユキが見えた。
あれ、ちょっと言い過ぎたかな。
言い過ぎた?そんなことないでしょ。
てりう来たよ、とトレイをユキに突き出すとハッとしたようにそうだった、とだけ言って紙の包みを開く。
ちょっと前までの嬉しそうに照り焼きうどんバーガーを頬張っていたユキとは、何処か違っていた。
そうだ、そういえばこないだ聞こうとして聞き損ねたことがあった。
「ねぇユキはさ、好きな人いないの?」
「いるかもしれないね、でも君には言わないよ」
「何それ!教えてくれたって良いじゃん」
てりう奢りなんだけど、とかこれからもてりう奢る、とか照り焼きうどんバーガーを交えていろいろ言ってみたけどユキは教えない、としか言わなかった。
なんか、私そんなに信用ないように見えるのかな。
まぁ、確かに口は固いとは言い難いけど。
でも絶対言わないでって言われれば黙ってられるし、ましてやユキの頼みだったら絶対約束守る。
私結構友達多い方だし、なんならその子とユキの為に肌何枚でも脱いであげちゃうのに。
そんなことをぼんやり考えていると僕は良いから佐伯くんの話してよ、とユキにポツリと言われて少し驚いたが、昨日の楽しさが一気に蘇りあれもこれも話したくなってしまう。
ユキも、私になんでも話してくれれば良いのに。
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