「貴女様が変わったという整備士の」


「あ、どうも…」



作業員のつなぎに乱雑に纏められた髪のその女性は、サンダースを手招きして此方にぺこりと軽く頭を下げた。
サンダースは嬉しそうに駆け寄り弱い電気をバチバチと放電する。
シングルトレインの整備士が近い内変わるとは聞いていたが、今日だったのか。



「わたくしシングルトレインサブウェイマスターのノボリと申します」


「はぁ、あたしはナマエです」



軽い挨拶を済ませると、彼女は運転席へと乗り込みライトを点けたり消したり、ドアの開け閉めをして1つ1つ車両の安全を見ていってくれていた。
勿論彼女の相棒なのだろう、サンダースもちょこまかと走り回っては主人に何かを訴えかける。
その訴えかけを聞いた彼女は腰に幾つもぶら下がった工具を手に取り、先を走るサンダースを追いかける。
毎日バトルしかしない私にとっては何だか変わった光景に見えた。
暫くすると点検は終わったと告げられ、彼女と少し話す時間が出来た。
どうやら今日はバトルでの破損が激しく無かったようだ。



「サンダースとはこの地方では見かけないポケモンですが」


「あたし前までリニアの乗務員だったんで、その時から一緒にいるから此処で働く時にも連れて来たんですよ」


「成る程、でしたらジョウト地方の出身ですか」



リニアと呼ばれるものがジョウト地方で走っている、というのは聞いたことはあるが、まさか目の前にいる彼女が乗務員だったとは思ってもみなかった。



「あぁ、これからよろしくお願いしますノボリさん」


「いえ、此方こそ」


「あたしまだスーパーシングルトレインの点検が残っているんで、それじゃあ」



お疲れ様でした、と一言言って整備道具の入った鞄を片手にサンダースと並んで歩いて行くのを見送りこの日の勤務を終わらせた。




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