私が終電を車庫に入れ、運転席から降りてくるのを見つけるとそのサンダースは主人を呼びに駆けていく。
最初は眠たそうな声が静かに響いていたが、次の瞬間には何事かと驚いて駆けつけた程の絶叫が車庫の中で木霊した。



「どうされましたか!?」


「いや、あの…ちょっと電撃喰らっただけなので、大丈夫です…」



床に伏せていたナマエさまは眠たそう、というよりは電撃を浴びて伸びきっていたと言った方が正しい。
おおよそサンダースがちっとも身体を動かそうとしない主人を起こそうと10万ボルトを放った、というところだろう。
サンダースも悪気があったわけでは無いだろうが流石に人間に10万ボルトは効き過ぎる。



「全くあんなに遊んだのになんでこの子はこんな元気なんだ…あたし寝てないのに」


「わたくしが仕事を変わって差し上げれたら良かったのですが」


「いやいやとんでもない、昼間に休まず遊んでいたのはあたしです」



痺れた身体を怠そうに起こし、整備道具の鞄をずるずると引きずりながらも整備士としての仕事をこなそうとシングルトレインに乗り込む。
すると車内から驚いた声が漏れる。



「何がどうなると電車がこんな事になるんですか…」


「本日のお客様がインファイトとオーバーヒートを、わたくしがベノムショックとボルトチェンジを使いましたらこうなりました、お疲れのところ本当に申し訳ないと思っております」



驚くのも無理はない。
手すりは猛毒にやられドロドロに溶け、窓ガラスは高温の炎に焼かれ変形してしまった。
強烈な拳でひびが入ったドアに、電光掲示のディスプレイは電気を帯びて使い物になっていない。
上からぶら下がっていたはずの吊革など当の前になくなっている。
車内の破損の酷さに流石のナマエさまもお手上げに近かった。



「出来る限り直しますけど直らなかったら修理に出しておきます」


「それはありがとうございます、お手数かけます」


「しかしまぁ、電車の中でバトルするとは聞いてたんですけど…」



どんなバトルするとこうなるんだ、と貴女様は呟きながら酷く壊れた部品を取り外す。
それを私は見ているだけで何も出来ない事に申し訳ない気持ちでいっぱいになった。




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