"マイナークラスの選手に、エンジンシティのジムリーダーは任せられない"
そう言われたのは、メジャーでの連敗続きからマイナー降格を言い渡されたと同時だった。
なんとなく、こうなることはわかっていた。
長らくほのおタイプのジムリーダーをやっていれば、チャレンジャーや他のジムリーダー達に対策をどんどんされていくのも当たり前だ。
だが、それも言い訳に過ぎない。
それに順応していかなければならないのも、トップジムリーダーの実力のうち。
かえんほうしゃやフレアドライブのような単純に火力で押し切る戦い方も、観客からは不評になってきているのも知っている。
この数年は周りからの厳しい声、スポンサーの圧力に耐えながら、自分のバトルスタイルも定まらず連敗し続けた。
どうすべきかトレーナーの自分が迷っていては、相棒たちのポケモンは本来の力なんて発揮できるわけがない。
そんなことも、わかっている。
(ホウエン…やっぱり帰ろうか?)
見てもいないテレビを点けたまま、またそんなことを考えていると、ウインディが郵便物を運んできてくれる。
新聞と、珍しく手紙が一通。
シンプルな白い封筒の差出人には、"ピオニー"と力強い字で書かれていた。
彼が手紙なんて、と思いながら封を切ると手紙ではなく、緑色の冠のようなマークのついたカンムリパスと書かれた切符が入っていた。
これをどうするんだろう、なんてため息を吐きながらその切符を眺めているとタイミングよく電話が鳴る。
"カブちゃんか!?ピオニーだ!オレからのプレゼント届いてるか!?"
「…緑色の切符のことかい?」
"緑だったか?まぁ多分それだ!本当はオフシーズンに1週間くらい旅行しようと思ってたんだけどよ、行けなくなっちまったからカブちゃん代わりに楽しんで来てくれよ!な!?"
なんで僕に、と言い終わる前に、そいつはブラッシータウンから電車出てるからな!向こうの駅着いたら民宿のねえちゃんによろしく!と怒涛のように要件だけを告げてその電話は切れた。
豪快というのか、大雑把というのか。
細かいことは気にしない、彼はそういう人だ。
まぁ、エンジンシティにいるのも嫌になってきた頃だった。
消えるように、何処かに行ってしまうのも、悪くないかもしれない。
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