今ので疲れた、とぼやいたナマエは、先程渡されたモンスターボールを自分の作業テーブルに置くと、山積みの段ボールを漁る。
目当てのものを見つければ、それをいくつもテーブルの上に出して、長い溜め息を吐いた。
それは、一部が妙な形をしたCDのような円盤。
こいつでさっきあのねえちゃんが言っていたメモリ、とやらを作れるという。
これを使うと、ポケモンのタイプを変化させることができるらしい。
やはり学者さんの考えていることは、おじさんにはよくわからねえ。
「それにしてもおまえさん、随分と太々しくなったな」
「…どういう意味?」
ウルトラビーストのこととぼけるなよ、と後ろから話しかければナマエは振り返り、少し気まずそうに顔を逸らす。
「クチナシさんが協力してたから…私も、そのくらいなら出来るかなって」
「へぇ、そうかい」
にやにやしながらナマエを見ていると、なに!と照れ隠しからか少し声を荒げる。
いいや別に、と片方の口元だけ上げれば、帰ってきた時と同じようにおじさんの横に勢いよく座ってきた。
ソファが重みでぎしりと音を立てる。
再び近くなった距離を、更に詰めるように顔を近付けてやれば、頬を少し赤らめて目を逸らした。
こっちはおじさんしか知らない、ねえちゃんの顔。
「誰に似たんだか、そんな捻くれた性格」
「クチナシさんしか、いないでしょ」
そう言うと、ナマエは片方の口元だけを上げて笑う。
その笑い方も、誰かさんにそっくりだ。
「似るほどおじさんのこと、好いてくれてんのかい」
「…だったらなんなの」
顔を真っ赤にして、ナマエは俯くとそう呟いた。
驚いた、照れて怒ってくると思っていたのに。
今度こそ、2度も阻まれたそれをしてやろうと、肩を抱き寄せ唇を重ねる。
普段より深く、長く口付けてそのまま共にソファに倒れ込めば、ナマエもそれに応えるように俺の首に手を回す。
窓の外は随分と明るかったが、そんなことはどうだっていい。
お構いなくナマエの白い首筋に、胸元に紅い痕を付ければ、ねえちゃんの唇から小さな声が漏れる。
「…ちょっと、ククイ博士になんか言われたらどうするの」
「悪いおじさんに噛み付かれた、って言っときな」
「間違いないね」
そう言って頬を赤く染めたまま悪戯っ子のように笑うナマエに、生唾を飲み込む。
まいっちゃうね、ねえちゃんがここにきた時は、そんな柄でも色気もなかったはずだけどな。
すっかりあくタイプ色に染まったわるい博士は、おじさんをこうやってすぐちょうはつする。
それにまんまと引っかかるのも悪くないと思うのは、おじさんも大概わるいからかもしれない。
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