退団の手続きならちゃんとしましたけど、とナマエが不満気に立ち上がりながら言うと、その財団のねえちゃんは受理しました、と返事をする。



「じゃあ何なんですか、もう用はないでしょ」


「ウルトラビースト捕獲、およびデータ解析のご協力誠にありがとうございました」



深々と頭を下げた財団のねえちゃんに、ナマエは目を丸くした。
そして勢いよく俺の方を振り返ったが、おじさんには何のことかよくわからなかった。



「なんのことですか」


「あのデータ解析力、ナマエさんしかいません」



ふい、と顔を逸らしたナマエは険しい顔をしていた。
財団のねえちゃん曰く、フェローチェの捕獲以降、あんちゃんがウルトラビーストを捕獲して国際警察からデータが転送されてくると、次の日にはエーテル財団のサーバーに、そのウルトラビーストに関するデータがポリゴンZから送られてきていたらしい。
そんなことが出来るのは、このアローラではただ1人、ナマエしかいないと言う。
このねえちゃんの口振りだと、やはりナマエは、エーテル財団でも指折りの研究員だったようだ。
それにしても、おじさんに隠れてそんなことをしていたとは。



「私じゃないです」


「いえ、私は信じていますから」


「…好きにしてください」



そうぶっきらぼうに言うナマエは、最後まで事実を認めようとはしなかった。
だが、財団のねえちゃんが言う通り、ナマエが進んでやったことだったんだろう。
役に立ちたいという思いからなのか、尻拭いのつもりなのか、それはナマエにしかわからなかった。



「それと、ナマエさんにはこちらを」



財団のねえちゃんは、1つのモンスターボールをナマエに託した。
その中身に心当たりがあるのか、ナマエは今更いらないと言って受け取ろうとしない。



「この子を扱えるのは、もうナマエさんだけです」


「なんで私が」


「予備のメモリも財団にはありません、だからどうかお願いします」



2度も深々と頭を下げられて、ナマエは大きな溜め息を吐き出すと、渋々わかりました、とそのモンスターボールを受け取る。
一通り話が終わると財団のねえちゃんは、お騒がせしましたと、すんなりと帰っていった。



「自分で責任持てよ、ってことね」


「そのポケモンか」


「タイプ:フル、私がアローラに来た目的」



そのボールを握りしめると、ナマエは眉を下げて笑う。
この中にいるポケモンは、シンオウに伝わる神話のポケモンを参考に、エーテル財団が人工的に作り出そうとしたポケモンらしい。
3体の試作を作ったものの、どれも上手く動作はせずに結局お蔵入りになってしまった、財団の第二の負の遺産とも言えるものだった。



「神を模して作ろうなんて、そんなのバチ当たっちゃうね」



そう呆れたように呟いたナマエは、いつもとは違う、俺の知らない研究者の顔をしていた。




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