「さぁ、どなた様をお呼びいたしましょう、勝負のお相手をお選びくださいませ」
訓練場にやってきて、ポケモン勝負をしたいというテルさまに、いつも通り尋ねる。
テルさまは、シンオウ神殿の一件からよく訓練場にいらっしゃるようになった。
いろいろと落ち着いて、どうやらポケモン勝負を楽しんでいるようだ。
普段ならば少し考えてから、タキさまや、ペリーラさま、と望みのお相手を指名するのだが、今日は少し様子が違った。
あの、とひかえめに聞いてきたテルさまに視線を向ける。
「ノボリさんが、一番強いと思う人は誰ですか?」
「なるほど、そうですね…」
本日のテルさまは、私の思う一番強いお方と手合わせをしてみたい、と言う。
帽子の鍔に右手をかけ、少し考える。
いや、考えるまでもなかった。
強いと聞いて、私の頭に浮かぶのはただ一人。
「わかりました、ではあのお方をお呼びいたしましょう」
ぱっ、と明るい笑顔を向けたテルさまを見る限り、強いお方との勝負はお好きのようだ。
それならば、あの人は必ずや貴方様を、さらなる高みへと導いてくれるでしょう。
私と共に、勝利という名の目的地を目指す、あの人なら。
少々お待ちくださいませ、と言って私は帽子の鍔に手をかけ、深く被り直した。
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