あんまり綺麗じゃないけど、と言いながらその人は家に入れてくれた。
そんなことはなかった。
見たことないものがたくさん置いてあったが、それでも小ざっぱりとした居間だった。
私の家の方が、よっぽど物が多くてごちゃごちゃしている。
椅子や机の上を少し整えるデンジさんの後ろで、私はきょろきょろと辺りを見渡す。
台所のような場所に、コトブキムラで見たあれに良く似たものを見つけて思わず口にする。
「…ギンナンさんのからくりつづらみたい」
「ん?冷蔵庫がどうかしたか?」
触ってみたい、と私が言うとデンジさんはとても不思議そうな顔をしたが、良いよと言ってくれた。
デンジさんのからくりつづらは橙色ではなかったけれど、形はよく似ていた。
後を振り返れば、からくり箱に良く似たものもある。
これも触りたいと言えば、デンジさんは少し困惑したような顔をしつつも構わないと言ってくれた。
「家電、好きなのか?」
「珍しいものが好きなんです、欲しかったけれどなかなか買えなくて…」
へぇ、と返事したデンジさんを他所に、からくりつづらを開けた私は驚いて慌てて蓋を閉めた。
開けたら、オニゴーリでもいるのかと思うような冷気が溢れ出してきたのだ。
私が蓋の取っ手を持ったまま立ち尽くしていると、デンジさんは可笑しそうに笑った。
冷蔵庫でそんなにびっくりしている人は見たことがない、と。
「じゃあ、これは?」
次は薄いガラスの板のようなものを紹介された。
恐る恐る触るも、無機質で冷たいそれはヒスイではまだ見たことがないものだった。
デンジさんがボタンがたくさん付いた棒を薄いガラスの板に向けると、ガラスの板の中で人とポケモンが動き始めた。
びっくりして私が後退りすると、デンジさんはくすくすと笑う。
「テレビ、見たことないか?」
「ない、です…」
何がどうなっているのか気になって、てれびと呼ばれたものの裏を見てみたが、そこには人もポケモンもいない。
首を傾げる私を見たデンジさんは、ホントに裏側見るんだ、と笑った。
それからデンジさんは、ぱそこんやすまほなど、いろいろな家電というものを見せてくれた。
どれも珍しい品ばかりで、心が躍る。
特にすまほという四角い機械は興味深い。
シンオウの地図も見れるし、離れているのにオーバさんと話をすることもできる。
紙と筆もないのに、手紙も書けるのだ。
どんな仕組みでそんなことができるのだろう。
この四角い箱の中身はどうなっているのか、私には気になって仕方がなかった。
デンジさんのすまほを全方位から眺める私に、彼はふと笑った。
「ホント、変わってるな」
「え…っと、すみません…」
「いや良いよ、君とは気が合いそうだ」
少しだけ開けてやるよ、と言ってデンジさんは嬉しそうにすまほの蓋を開けてくれた。
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