Sucreve

孤独な世界できみを待つ


The decade of loveの別バージョンというかなんというか。ベースはそれ。








10年ぶりに起動したゲーム。ヒスイの冒険を終えて、双子が揃っているところをどうしても見たくなったのだ。
マルチトレインを順調に勝ち進み、21戦目。二人に会えると思いきやそこには何故か一人しかいなかった。
『ぼく クダリ サブウェイマスターを してる』
白衣の彼の口上はダブルトレインのものだ。何で?乗り間違いのわけがない。ここまで20戦、相手は皆二人組だった。画面にもトウコちゃんとトウヤくんが映っている。
震える指でAボタンを押すとメッセージが進んだ。
『ごめんね 本当は ノボリと きみたちを 待つはずだった』
彼は帽子を目深に被り直す。ドット絵なのにその動きはひどく自然だった。
『だけど ノボリ どこかに 行っちゃった ぼくを置いて』
彼は何を言っているのだろう。だって、これは10年前のゲームで、その頃こんな未来があるなんて誰も知らないわけで、アップデートがあったわけでもなくて。
『ねえ きみは 知ってる? ノボリが どこにいるか』
帽子を上げた彼の目は鋭い。画面越しであることを心底安心した。もしも間近でこんな目をされたら恐怖で動けなくなっているに違いない。
『知ってる?』
【▶はい いいえ】
表示されたはいといいえ。知っているがそう答えてはいけない気がした。大体、これは何だ。バグにしてはひどい。こんなバグあってたまるか。
息を飲んでいいえを選んだ。
【はい ▶いいえ】
『…… …… ……』
彼は無言になってしまった。かと思うとまたメッセージウィンドウが現れ、同じ言葉を繰り返す。“はい”を選ばないと進めない?
ならば選ばず電源を落としてしまおうとして、出来なかった。かなしばりにでも遭ったように指が動かなかった。
『知ってる よね?』
急にメッセージが変わった。気味が悪くて怖くて本体を投げてしまいたくなったけどやはりそれは出来なくて。
『教えて ノボリのこと』
何もしていないのに表示されるメッセージ。恐怖は頂点に達していた。
『一人になったぼくのために きみが そばにいて』
白い手がぬるりと画面から伸びてきた。そうして私の手を掴む。
「ま、って、や、やだっ!!」
「……これでもうぼくは独りじゃない」
最後に聞こえたのはそんな嬉しそうな声だった。



end.






この後は夢主に色々聞いて「ノボリ元気だった?キャプテン?すごい、流石ノボリ!」ってにこにこしてるけど夢主が帰りたいとか言ったら「何で?どうして?きみもぼくを置いてくの?ぼくを一人にするの?またぼくは誰もいない暗闇に独りでいないといけないの?」って縋ってくるので怖い。

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