prologue

物心がついた頃から、何一つ不自由のない生活だった。
周りには笑顔の大人がいっぱいいて、可愛い可愛いと私をたくさん誉めてくれて、珍しいものをたくさんくれた。きれいな服を着て、おいしい物を食べて、賑やかで、きらきらしてて、とても楽しい。





――でも、そんなものはただの幻想。束の間の楽園だったのだ。





気付いた頃には全てを失ったも同然で。
たった一つだけ残されていたのは……国外逃亡を余儀なくされた王女という虚しい肩書きだけだった。
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