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 翌朝になって漸く一つ目の爆弾の在り処が東都タワーであることが判明した。松田と片桐、高木、高木と一緒にいたコナンを連れて、そこへ急行した。念の為高木に爆発物処理班に連絡を入れてもらい、一足先に松田たちはタワー内に踏み入れた。エレベーターの上に爆弾が設置されていたことは分かっていたので、解体作業に移ろうとした――が、刹那、タワーのどこかに仕掛けられていた爆弾が爆発し、松田たちはエレベーター内に閉じ込められてしまった。
「やはり過去と同じ状況になってしまったわけだねえ」
 片桐の呆れが混ざった声音に頷く。警察官が爆弾に辿り着いたらそこへ閉じ込める。そういう卑怯なやり方をするのだ。
 爆弾はエレベーターの上にある。水銀レバーが作動し、少しの振動さえも許されない中、松田や片桐である大人が下手に動くことなどできない。
「江戸川クン、頼めるかい?」
「うん!」
「松田クン、ほら抱えてあげて。ついでに指示を」
「ちっ…分かったよ」
 プロができないのは心苦しいが、体重の軽い子供以外この場で動ける者はいない。
「高木クンによると、爆発物処理班は外で待機しているそうだよ。萩原クンもいるみたいだねえ」
「まあそうだろうな。今回役に立たねえけど」
「ははは、それは言ってあげないでやりなよ」
 軽口を叩いているが、上ではコナンが解体中だ。場の空気を和ませてる意図があるのか分からないが、片桐は普段通りだった。
「おいガキ、コードは切れたか?」
「うん!言われた通り、次は小さい板みたいなの外すね!」
 妙に物分りの良い子供である。実は解体知識を有しているのでないかと勘繰ってしまう。まあそんな知識、普通の子供が蓄えているわけがないのだが。