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「それで良いんじゃねえの。一緒にいて問題ないだろ」
「なにを馬鹿なこと言ってるんだ!駄目に決まってるだろ!」
「何で」
「私と一緒にいたら余計に目をつけられる可能性だってある!あんたは組織の恐ろしさを知らないからそういうことが言えるんだ!」
 片桐の必死の説得に、松田は安心する。「今ので余計に一緒にいなけりゃ駄目だって思ったぜ」本当に、安心した。
「やっぱりお前は嘘が下手だな」
「は?!今はそんな話してないだろう!」
「降谷、そういうことだ。部屋を用意してくれ」
「分かった」
「ちょっと!人の話を聞きたまえよ!ていうか部屋って何!?どういうこと!?」
 「一緒に住む部屋に決まってるだろ」と降谷が述べる。「ハァ!?」先程の重い空気などどこに行ったのか、片桐は完全に二人に振り回されていた。降谷は今から電話をするからということで病室を出た。片桐はいまだ納得していないようで、頬を膨らませてこちらを睨みつけた。
「ああ馬鹿だ馬鹿だと思っていたけれど、ここまで馬鹿だなんて思いもしなかったよ」
「そりゃ悪かったな。…二重スパイとか、大丈夫なのか?」
「は?今更それの心配するの?そんなの大したことじゃない」
 実際はかなり無理があるだろうが、今は彼女を信じるしかなかった。「そういえば」松田はふと思い出す。
「お前あの時、何て言ったんだ?」
「え?」
「ほら、撃たれた時」
 松田が死なないでくれと告げた次のせりふのことだ。途切れ途切れだったから、何を言っているのか聞き取れなかった。片桐は思い出したのか、神妙な顔つきになった。
「二人目」
「え?」
「私に死なないでくれと言ったのは、キミで二人目だ」
「…一人目って誰なんだ?」
 訊ねれば、片桐は悲しげに笑った。
「キミの友達さ」