「それで話を戻すが、きみはギーマから友達でいたくないと言われた…ということで良いか?」
「あ、はい」
 それから彼は少し詳しく自分とギーマの日常的なやり取りを訊いてきたので素直に答えた。こうなっては自棄だ。存分に相談に乗ってもらおう。
 一応全ての質問に答え終えたところで、レンブは不思議そうに相槌を打った。
「なんというか、わたしの知るギーマではない気が…」
「え?」
「いや確かに意地が悪いところはきみの話した内容と同じだ」
 ――同僚にも意地悪とか思われてるんかい。
 内心苦笑したが表には出さないでおく。
「だがなんというかこう……」
「…??」
「失礼を承知で訊くが…きみたちは付き合っているとかではないんだな?」
「そうですが…」
 名前は親友のつもりでいたし、ギーマ自身もそうだったと思う。
「意外だと思ったんだ」
 おもむろにレンブが語る。
「彼は人間関係にはかなり潔癖なところがあるから…」
「……」
「プライベートハウスにきみを招き入れたというのがちょっと信じられなかった」
「だから付き合ってるのかと思ったんですか?」
「そうだ」
 わたしたちでさえ招待されたことがないからねと言って苦笑するレンブ。
 確かにギーマは何事にも少し潔癖なところがあった。交友関係は浅く広くがモットーだったような気がする。
「も、もしかして私との関係を不潔だと思うようになったから嫌いになった…?」
「いやいやそこまで言ってないだろう!気にしすぎだ!」
「でも潔癖な人って普通の人間が気にしないところまで気にするじゃないですか!」
 名前もレンブも気にしないようなところが目について友人関係を破棄したくなったのかもしれない。
「り、理由は分からないが彼はきみとの関係について何か大きな悩みを抱えていたんじゃないかな?」
「大きな悩み……」
「しかしきみを傷つけたくはなかったからレパルダスに相談していたんだと思うよ」
 その相談を名前が聞いてしまったというわけか。どちらにせよ今までの関係にギーマが満足していないことは明白。今からその不満な部分を聞きに行って改善する勇気が生憎名前にはない。
 だから、どの道もう終わりだ。
「……何なんだよあいつ!勝手に我慢して勝手に愚痴るとか!!」
「ちょ、ちょっと…」
「もう知らない!!」
 ――惨めになる。幼少期を思い出す。兄を、思い出す。
 なんだか全てが嫌になって名前はカフェを飛び出した。自分の分のコーヒー代を払っていないことに気づいて自己嫌悪に陥ったのは、ポケモンセンターの扉をくぐり抜けた頃であった。
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