どういうわけなのか分からないが、瞳を見れてみれば怒ってはいなさそうなので一先ず安堵する。
「名前はギーマに対してどう思ってるの?」
「ギーマは皮肉屋だけどいい人だと思う」
 それこそカミツレと同じく、繋がりがあるのが奇跡的だと思える。
「ギーマといると安心するのにわくわくする」
「何それ?」
「んーなんか表現しにくいんだけど、無条件に信頼できるというか…この人なら何があってもなんだかんだで大丈夫そうだなぁって」
 いつもスリリングなことをしているからだろうか。彼ならどんな窮地でも乗り越えられそうな気がするのだ。引き際も上手いし、損切りの見極めも素早い。
 そう、彼といると楽しいのだ。
「いつもこっちを困らせるようなこと言うのに、本当にまずくなったらすぐに助けてくれるし」
「……」
「あと意外と片付けが苦手なところも可愛くない?だからギーマのプライベートルームってものが少ないんだよね」
 『苦手なんじゃない、ものが多いことが許せないんだ』――家具が少ないことを指摘すれば、そうやって言い訳していたのを思い出す。そのくせ料理は好きなので調理器具だけ数が多いのである。そして彼自身潔癖なので長い時間をかけて調理器具を片付ける。その間、名前は置いてけぼりをくらうのである。
「酷いと思わない?」
「楽しそうね、あなたたち」
「あははそうかも。片付けするギーマの背中見るの、好きなんだ」
 ――会いたいなぁ。
 自然と、その感情が芽生える。でもあの声を思い出す。悩ましげに、絞り出すようにして言った、あの言葉。
「もしかしてなんだけど」
 とここで、カミツレが神妙な顔つきで口を挟む。
「…あなた、好きなんじゃないの?」
「え?ギーマが?勿論。でなきゃ親友なんて…」
「そうじゃなくて」
 彼女は心底呆れた表情で、言った。

「あなた、実は男として彼のことが好きなんでしょ」
- back -