死ねなかった夢のお話
数日後、リーグ機関――。
名前はギーマに連れられ、レンブに会いに来ていた。数日ぶりに見た彼は名前とギーマが一緒にいることに驚きを示した。
「仲直りしたのか!」
第一声がそれで思わず笑みがこぼれる。
「えっと……ありがとうございました、色々と」
「気にしないでくれ。本当に良かったよ」
「それから、その……コーヒー代を…」
「「コーヒー代?」」
レンブとギーマの声が重なる。何の話だと訊ねるギーマの目に促され説明すれば、何だそんなことかとレンブは嘆息した。
「あんなの気にする必要ないのに…」
「もしかして今日レンブに会いに来た理由はそれか?」
「まあ、うん…」
「そんなの言ってくれれば私が払ったのに」
「いやギーマが払うのは違うでしょ」
どうやらギーマもレンブに世話になったらしいが、あの時は名前が相談に乗ってもらっていたのだ。ギーマが払うのは筋違いだ。
そんな小さな諍いの折、ふとレンブが笑う気配がした。何だと二人して彼を一瞥すれば「ああ済まない」と笑みを作ったままレンブは謝罪する。
「本当に仲直りしたらしいな。……というより、進展したと言えば良いのかな」
意味深な発言に思わず顔を赤らめるが、横のギーマはあっけらかんとした態度でまあなと肯定した。
「君のお陰だとでも言っておこうか」
「はは、どういたしまして。上手くいって何よりだ」
「な、何でそんなに普通な感じなの…」
当然のように会話するギーマに驚きの目を向けていると、彼はおかしそうに言う。
「そんなに恥ずかしがることでもないだろ」
「いやでも……私たち、この前まで普通の友達だったのに…」
「それとこれとは別だろ。大体あんなに慰めてやったのに今更この程度で…」
「そういうことは言わなくていいのッ!!」
人様の前で何てこと言うんだと遮ればまたもやレンブが楽しそうに笑った。こちらは笑い事じゃない。
「これ以上はお邪魔らしい。早々に退散しよう」
「あっちょっと……」
「そうしてくれると助かる」
「ギーマ!」
煽りとも取れる彼の発言に怒ることもなくレンブは笑いながら去って行った。このくらいは冗談の範囲なのだろうか。彼らの関係はよく分からない。「じゃあ私たちも行こうか」もう用はないだろうと急かすように腰に手を添えられ誘導される。断る隙もない。
「……そういえば結局お金渡してないや」
「そんなのまた今度でいい。それより、私の前でいつまでも他の男の話をするな」
いやあんたの同僚なのにと思ったが口を噤んだ。少し不機嫌な彼の表情が思いの外子供っぽかったからだ。つい口角が緩めば何がおかしいとばかりに頬をつつかれた。「帰ったら紅茶淹れてね」「仕方ないな」呆れたような口調なのにどこか嬉しそうなギーマ。案外自分も彼も何も見えていなかったんだなと考えながら、恋人というのも悪くないと思い直した名前なのであった。← - back -
名前はギーマに連れられ、レンブに会いに来ていた。数日ぶりに見た彼は名前とギーマが一緒にいることに驚きを示した。
「仲直りしたのか!」
第一声がそれで思わず笑みがこぼれる。
「えっと……ありがとうございました、色々と」
「気にしないでくれ。本当に良かったよ」
「それから、その……コーヒー代を…」
「「コーヒー代?」」
レンブとギーマの声が重なる。何の話だと訊ねるギーマの目に促され説明すれば、何だそんなことかとレンブは嘆息した。
「あんなの気にする必要ないのに…」
「もしかして今日レンブに会いに来た理由はそれか?」
「まあ、うん…」
「そんなの言ってくれれば私が払ったのに」
「いやギーマが払うのは違うでしょ」
どうやらギーマもレンブに世話になったらしいが、あの時は名前が相談に乗ってもらっていたのだ。ギーマが払うのは筋違いだ。
そんな小さな諍いの折、ふとレンブが笑う気配がした。何だと二人して彼を一瞥すれば「ああ済まない」と笑みを作ったままレンブは謝罪する。
「本当に仲直りしたらしいな。……というより、進展したと言えば良いのかな」
意味深な発言に思わず顔を赤らめるが、横のギーマはあっけらかんとした態度でまあなと肯定した。
「君のお陰だとでも言っておこうか」
「はは、どういたしまして。上手くいって何よりだ」
「な、何でそんなに普通な感じなの…」
当然のように会話するギーマに驚きの目を向けていると、彼はおかしそうに言う。
「そんなに恥ずかしがることでもないだろ」
「いやでも……私たち、この前まで普通の友達だったのに…」
「それとこれとは別だろ。大体あんなに慰めてやったのに今更この程度で…」
「そういうことは言わなくていいのッ!!」
人様の前で何てこと言うんだと遮ればまたもやレンブが楽しそうに笑った。こちらは笑い事じゃない。
「これ以上はお邪魔らしい。早々に退散しよう」
「あっちょっと……」
「そうしてくれると助かる」
「ギーマ!」
煽りとも取れる彼の発言に怒ることもなくレンブは笑いながら去って行った。このくらいは冗談の範囲なのだろうか。彼らの関係はよく分からない。「じゃあ私たちも行こうか」もう用はないだろうと急かすように腰に手を添えられ誘導される。断る隙もない。
「……そういえば結局お金渡してないや」
「そんなのまた今度でいい。それより、私の前でいつまでも他の男の話をするな」
いやあんたの同僚なのにと思ったが口を噤んだ。少し不機嫌な彼の表情が思いの外子供っぽかったからだ。つい口角が緩めば何がおかしいとばかりに頬をつつかれた。「帰ったら紅茶淹れてね」「仕方ないな」呆れたような口調なのにどこか嬉しそうなギーマ。案外自分も彼も何も見えていなかったんだなと考えながら、恋人というのも悪くないと思い直した名前なのであった。