「マオ!お前どこ行ってたんだよ!」
「面白かった」
「そうじゃねー!!」
 無事船員と合流したマオはシャチなどから質問攻めに遭ってたのだが、のらりくらりと躱し続けた。なんとなく、エースとの出会いはマオだけの秘密にしておきたかったのだ。
 翌日の夕方、ローはまだ帰還していない。いつもならまあ放っておいても大丈夫だと皆思っているのだが今日は違う。今しがた新たに海軍の者がこの島に入ってきたという情報があったのだ。このままでは危険である。
「探しに行くか」
「俺とペンギン、ベポは絶対だろ?」
「ああ」
「やつがれも行きたい。キシッ」
「…お前、面白がってるだろ」
 結局、なんだかんだでマオもロー探しに協力することになった。
 二手に分かれ、単独行動は禁止での捜索。マオはシャチと行動することになった。本当はベポとが良かったのだがベポはペンギンと一緒だ。
「お前、ゴスロリのカッコのままで大丈夫なのか?」
「ヘーキヘーキ」
 可愛らしい格好のマオと、ツナギのシャチ。アンバランスな組み合わせに時折行き交う人から視線を貰った。
 空はもうどっぷりと藍色に浸かっている。故にイベントも最高潮に達しており人々のテンションは昼間とは比べものにならない。人の波に流されないようにお互い気をつけていたのだが、不意にシャチは「あ゛っ」という嫌な声をあげて立ち止まった。
「青雉!?」
「キジ?」
「やべっ、兎に角逃げるぞマオ!」
 マオには何故彼がそんなにも慌てているのか分からないが、突然走ってしまった彼について行けず、いつの間にか彼女は一人になってしまっていた。が、それは然して重要ではない。彼女は自身を強いと確信しているし、大抵の者なら余程のことがない限り刀が無くとも応戦できると思っている。故に置いて行かれても、必死になって追いかけようなどという考えはちっとも浮かばなかったのである。
「…おいお前」
「キシッ…やつがれ?」
 勿論彼女の力は強大だし心配する必要は無いのだが、こういう驕りが後に面倒事に巻き込まれる原因になるなど、今の彼女は全く思ってもいなかったのだ。
 そしてそれは無論、ローの心労に響くのであった。