「「「おおーっ!!」」」
 医務室に入って半刻ほどしてからマオは漸く皆の許に帰ってきた。出来上がった刺青を見たいが為にマオの周りにはたくさんのクルーが集まる。
 足首にできた刺青は思いの外大きいものだった。しかしそれを気にする様子も無く、マオはいつも通りの笑みを浮かべていた。時折気になるのか足首を触ったりしているが、それ以外何の変化も無い。ペンギンは彼女のあの一瞬の笑顔のギャップに動揺しっぱなしだった。
「ペンギン何しちょる」
「え?ああいや…」
「おお、あの娘、刺青いれたんか」
「ああ」
 彼女に群がるクルーたちを見つめるアシカは、どこか複雑そうな顔をしている。彼女の狂気を間近で触れたのだ、仲間の証をいれられることに抵抗があるのは無理はない。ペンギンだって最初はマオを敵視していたのだから。
「…アシカ」
「ん?」
 でも、だからこそ分かったこともある。
「マオって、案外女の子なのかもな」
「……はあ??」
 不可解そうに自分を見つめるアシカに微笑し、ペンギンは優しい目をマオに向けた。