おんなのこのはなし
「ほんっとにあり得ない!なんなのあの態度!」
部屋で落ち着いてもヒカリは先程のシンジの態度に難色を示したままだった。
「もう過ぎたことだし気にすることないよ」
「だって〜……スリナってよくシンジと一緒に旅できるわね。あたしだったら無理」
はっきりした態度にスリナは笑った。
「普段は別室だからシンジも戸惑っただけだよ。あんまり気にしないで」
「そうなの?みんなで泊まったほうが楽しくない?」
するとスリナはギョッとしてヒカリを一瞥した。
「ヒカリはサトシたちと同じ部屋に泊まってるの?」
「そうよ。そっちのほうが楽しいでしょ」
その回答を聞くとスリナは少し間の抜けた顔をした。そうなんだ、と呟くと黙るスリナ。そこでヒカリは例えシンジと同室になっても、寡黙な彼ではきっと楽しくないだろうなという考えに至った。
「そうね、スリナが正しいわ」
「え?」
一人で勝手に納得したからか彼女は始終不思議そうな顔をしていた。
翌朝。早すぎる起床をしてスリナを見送ろうと寝ぼけ眼を擦るヒカリに、スリナはなんかごめんねと謝っていた。嵐は夜中の内に去っていたようで、外は素敵な青空が広がっている。良い朝だ。
「気をつけてねスリナ。もしシンジとの旅が嫌になったらあたしたちと一緒に…」
「おいグズグズするな。行くぞ」
「まだあたしとスリナが話してんの!!」
「落ち着けヒカリ。まだ早朝だぞ」
ヒカリと同じくスリナとシンジの見送りに来たタケシ曰く、どうやらサトシはまだ熟睡中らしい。朝まで喧嘩がなくて良かったと話す彼から察するに昨夜は大変だったのだろう。
「スリナ、本当にありがとう。助かったよ」
「気にしないで。女の子同士で泊まれたの久しぶりだから楽しかったよ」
「……異性同士で旅をするのは大変だろうな」
ぼそりと呟いたタケシの言葉を、ヒカリの耳が拾った。
タケシの言葉にスリナは曖昧に笑って最後の挨拶をすると、既に先に進んでいるシンジに追いつくため小走りに駆けていった。
そしてそういうものなのかと唐突に理解する。
シンジはスリナを女の子として見ていた。スリナはシンジを男の子として見ていた。だからこそ同室になることに抵抗を覚えたのだ。無論ヒカリもシンジやサトシを男の子として認識している。ただ、しているだけなのだ。故に同じ部屋に泊まっても何とも思わないし、サトシの間抜けな寝顔を見ても笑い飛ばせる。
――シンジはともかくスリナはやっぱりあたしより大人なのね。
当然のように同性で部屋割りをした彼女を思い出す。
「なーんだ、そうだったんだ」
「どうしたんだヒカリ」
「ううん!なんでもない!」
シンジとスリナがお互いをそういう風に見ていることに対し意外に感じたが、納得もできた。
「今後面白い展開になりそうかも」
ふふ、と笑うヒカリをタケシは始終不思議そうに見ていた。