ところ変わって食堂。
「…お前は梨胡のことをどう思っている?」
 向かい合って座ると、早々に質問を繰り出されて平古場は驚く。ええと、と視線を彷徨わせてから彼女の姿を思い浮かべた。
「………き、きれい」
 緑のコートで仕事をする梨胡の情景が、ふっと湧く。
 「コートを整備しとる姿がきれい」「洗濯物を取り込んでる時、落とさねーらんようんかい、気を付ける姿がきれい」「ドリンク配る時、ちょっとはにかむのがきれい」「あし(汗)を拭う姿がきれい」「練習内容ぬ変更点を書き加えてた時、書き間違えてみーまゆ(眉)を寄せた姿がきれい」「弟が試合んかい勝った時、嬉しそうに表情を緩める姿がきれい」
 それから、それから―――。
「…ふ、もういいぞ」
 手塚の少し困ったような笑い声に、平古場はハッとして口を噤んだ。もしかして今、自分はとてつもなく恥ずかしいことを平気で口にしてしまったのではないだろうか。不安げに手塚を見やると、意外にも彼は優しい顔でこちらを見据えていた。
「……正直、お前たち比嘉中は試合で卑怯なことをしたからどんな性格の悪い連中かと思ったんだが…」
「………?」
「お前が梨胡のことをちゃんと見ていて安心した」
 どういう意味なのか分からず首を傾けるが、手塚はそれ以上説明するつもりが無いらしく立ち上がった。
「………大丈夫、普通に話しかけてみろ。梨胡がお前に振り向くか否かはお前の誠意次第だ」
「えっ…」
「普段はドライそうに見えるが、梨胡は意外とよく喋る」
 じゃあ、健闘を祈る――そう言い残すと手塚はさっさと食堂を出ていってしまった。
まだ目が見れない


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