――――何で仁王と親し気なんだよ。
 梨胡が食堂に入るや否や、遠山が彼女に駆け寄り楽し気に話す。それだけでも少し嫉妬したのに畳みかけるように仁王の存在が大きくなる。大体どうして越前姉弟の日課を知っているんだ。仁王と二人はそんなに親しい仲ではなかった筈だ。一体どこでそんな話になった。
 (う、羨ましい……)
 羨望と嫉妬が入り混じった視線を仁王に向けていれば、不意に彼がこちらを向いてニヤリと笑った。「……!!」まるでこちらの感情を全て知っているような表情だ。
「か、完全にからかわれてるやぁー…」
 流石は立海の詐欺師である。彼と平古場の接触は薄い筈なのに、こちらの梨胡に対する想いは知られているらしい。(……ムカつく)中々踏み込めない己を馬鹿にされた気がした。
「…ったく何なんだよあの先輩たち」
「おー…越前、やーも大変だなぁ」
「あ、平古場さん」
 正直、弟にも少々嫉妬心が芽生えた。毎日彼女に髪を乾かしてもらえるなんてどういうご褒美だ。
「…………平古場さん、今馬鹿なこと考えたでしょ」
「かッ考えてねーよ!!」
「どうだか」
「やーはもう少し先輩を敬え」
 平古場の叱咤を下らなさそうに鼻で笑い飛ばしたリョーマは、顔を梨胡に向ける。平古場もそれにつられて見てみれば、いまだに梨胡は遠山と話していた。
「……ぬーよ、あぬひゃーに嫉妬してんの?」
「それは平古場さんのほうでしょ」
 相変わらず口が減らない後輩である。
「姉ちゃんったら世話焼きなんだから……面倒なら白石さんに任しておけば良いのに」
 するとタイミング良く白石が梨胡に近づいた。遠山を回収するのか思ったらどういうことなのか二人の会話に白石が参加した。(あ、あぬひゃー!!)なにサラッと加わってんだ!と怒鳴りたくなる。隣のリョーマも同じ気持ちのようで、眉間に皺が寄っていた。
「………………平古場さん、姉ちゃんを落とすのは大変だよ。もう諦めたら?」
「ハッ。たー(誰)が諦めるかよ」
 平古場と同じようで、リョーマも譲る気はないらしい。ドライな彼が意外とシスコンで思わず平古場は笑った。
誰にでも優しくしないで


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