「越前!」
午後練が始まる直前、平古場は越前リョーマを引き留めた。怪訝そうにして振り返ったリョーマであったが平古場を見た瞬間「ああ、なんだ」といった顔をした。
「…姉ちゃんのこと?」
呆れた口調で正鵠を射る発言をするリョーマ。
「まあ、な」
「何」
冷めた声に相変わらず可愛げのにない後輩だなと思いつつ、平古場は口を開く。
「お前の姉ちゃんさ」
「うん」
「高等部にそのまま進学するのか?」
白石とあんな会話をしてしまってから、平古場は本当に彼女がこのまま自分が知っているところに腰を据えるのか不安になった。以前不二との会話をそんなつもりはなかったものの盗み聞きし、彼女がこのまま進学するつもりであることは聞いていたものの弟の口から確認を取っておきたかったのだ。
しかし。
「は?そんなの姉ちゃんに直接訊けば良いじゃん」
あっさり断られた。
「……………」
「なに、そんなことも訊けないの?」
小馬鹿にした物言いに青筋が立つ。
「訊けるっつーの」
「じゃあ訊けば?」
取りつく島もないリョーマに思わず溜息が出る。すると彼は不愉快そうに片眉を上げた。何か不満でもあるのかと言いたげだ。
「やーはさ、多分恋愛とかしたことねーんだろーなぁ…」
溜息混じりに呟けばリョーマが顔を歪めた。
「なにそれ。俺のこと馬鹿にしてる?」
「別にしてねーよ」
恋とは些細なことで一喜一憂してしまう面倒でありながらも愛しい代物だ。それが分からないなんて勿体ないと、平古場は言いたい。
「まあいいや。自分で訊いてみる。引き止めて悪かったな」
平古場はそう答えて踵を返した。リョーマは特に何も言わなかった。
リボンでも良いからその指に結いこんで
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