「………………えっ。そんだけ?」
「そんだけだけど?」
「……折角わんが席代わってやったのに」
 夕食後、平古場は比嘉に宛がわれた一室にて甲斐、知念に先程の梨胡とのやり取りを報告していた。平古場自身、夕食での会話はかなり頑張ったほうだと自負していたが、甲斐たちの反応は思いの外悪かった。
「知念が席代わってやったのんかい、やー…チャンスを無駄にしたな」
「はあ!?何でさ!わん、しに頑張ったぬんかい!」
 会話できたじゃないか!と胸を張ってみるものの甲斐たちの表情は優れなかった。
「……やーから話しかけねーらんと意味ねーらんよ」
 ぽつり、言った知念の言葉に平古場はポカンと口を開ける。
「そーそー。梨胡は“マネージャー”としてやーを心配しただけで“個人的に”心配したわけじゃないってことさー」
「………」
「つまり!梨胡にとって凛はわったーと同じように見てるってこと」
「……じゅんに(本当に)仲良くなりたいぬならだぁじゃ駄目さ」
 知念の言葉がトドメとなり、平古場はその場に崩れ落ちる。そう、彼は今日の出来事が大きな一歩だと感じていた。それを二人に木っ端微塵に潰されたのだ。衝撃は大きい。
「…しょうがねーさー。明日、青学の奴らに話を聞きに行こう」
 甲斐の突然の提案に平古場は顔を上げる。
「…そんなことしてどうすんの」
「話題集めだよ!会話を広げる為の!やーは無知ぬままじゃまともに会話できねーんだろ?」
「裕次郎……やー、頭イイ!!」
 立ち直った平古場は両手を握って「あちゃー(明日)ちばるぞー!!」と意気込む。急降下した気持ちはもうとっくに急上昇していた。明日が、楽しみだった。
苦味と甘味


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