ヒーローの登場って打ち合わせしていないと無理じゃない?
「なんっっってことしてんだ近藤さん!!」
同刻、局長室では土方が怒りを露わにしていた。彼の手には書簡が握られている。
「トシ、どうしたんだ」
「アンタこの意味分かってんだろ!分かってて許可出したんだろ!」
土方の手から書簡がスルリと落ちる。それを沖田はキャッチした。紙面には“有休申請書”と書かれており、氏名の欄には、
「…終兄さん?」
そう、斉藤の名が書かれていた。
詰め寄る土方をもろともせず、近藤は淡々と言葉を紡ぐ。
「何を怒る必要がある。俺は終が“休暇が欲しい”と言ってきたからそれに許可を出しただけだ」
「だがこのタイミングで有休なんざ十中八九…」
「トシ」
近藤が土方を睨む。いつものようなふざけたものではなく、真っ直ぐなものだった。
「終は今“真選組三番隊隊長”じゃない。隊士のプライベートまでガミガミ言うのは野暮ってもんだ」
「近藤さん…ッ」
「休暇を、しかも有休をどう使うかなんて隊士の自由だ。違うか?」
あくまで白を切るつもりなんだこの人は――近藤のお人好し加減に、土方は溜息をつきたくなった。
そんな彼に、近藤は微笑みかける。
「信じて待っていてあげよう。“良いお土産”を期待してな」