いや他人の恋に関わると碌なことないからね


「えーと何々、山吹色のツナギ…作業服っぽい感じ。髪は短めで淡い栗色。女性にしてはちょっとつり目」
「作業服ってそいつホントに女アルか。もっとオシャレするべきアル」
「いちごのショートケーキを買ったそうです」
「そこだけ女かヨ」
「なに!?いちごのショートケーキを買う奴に悪い奴ァいねェ。よし頑張って探し出すぞ」
 手始めにその女性と出会ったとされるコンビニに立ち寄って暫く居座ってみたが、それらしき人物は現れず。店員に確認を取るがその時シフトに入っていた店員ではなかったので情報は得られず。これ以上ここに居座っていても無駄だと判断し、皆は外に出た。
「あー中々上手くいかねえな」
 銀時はコンビニで買ったいちごのショートケーキを貪る。
「あれ?銀さんじゃねーか」
 そんな中、公園のほうから男の声が聞こえた。そちらを見てみると見知ったサングラスがやって来ていた。
「長谷川さんじゃねーか」
「何してるアルか。また昼間っから酒飲んでるアルか」
「その毒舌どうにかなんない?」
 長谷川は段ボールを下に敷いてそこに座る。銀時の持っているショートケーキに目を向けながら仕事?と訊ねてきた。そうだと言うと、長谷川はあからさまに羨ましそうな雰囲気を出して「そうか…」と呟いた。
 「あ、そうだ長谷川さん、こんな人知りません?」苦笑して新八は探している女性の特徴を伝えると、意外にも長谷川は明るい表情を見せた。
「ああもしかしてこの間、攘夷浪士か何かに絡まれてたねーちゃんのことか?」
「え!?長谷川さん知ってるんですか!?」
「おう。だって俺見てたし。アレだろ、真選組の副長とかも来てなんか大騒ぎだったアレ」
 皆は顔を見合わせる。思わぬ収穫だ。
「で、その女性、どんな人でした?」
「あ?あー…あ!あの子に似てた!」
「あの子?」
 怪訝そうに銀時が反芻すると、長谷川はあの子だよ!と彼の肩を叩いた。
「ほらあんたも会ったことあるじゃん!」
「は?」
「源外ンとこの弟子だよ!!」
 ぽろり。折角取っておいたいちごが、道路に転がった。



「源外さんにお弟子さんなんて居たんですね」
「意外アル」
「いらっしゃい」
 背後から中性的な声。振り向くと山吹色が目に飛び込んできた。
「山吹色の作業服…」
「淡い栗色の短い髪…」
「…あのー、何ですか?」
 凝視してくる二人に怪訝な顔をする燕。「よ、久しぶり」ポンと燕の肩を叩くと、ああ、といった感じの薄い反応で燕は銀時に挨拶をする。あんまり嬉しそうにしないあたりが相変わらずだ。
「ちょっと訊きてーことがあんだけど」
「はあ」
 そして銀時は斎藤の手紙のことは伏せて、オレンジ髪の真選組隊員に会ったことはないかと訊ねた。
「ああ…コンビニで寝てた人」
 どんな状況だそれ、とつっこみたくなったが銀時は我慢した。
「その人がどうかしたんですかィ」
「え!?あー…うん、いや…何でもない」
 その日は結局適当に言いくるめて終わった。
 斉藤に返す手紙には一応彼女のことを書いておいたが、恋の相手にするのはやめたほうが良いと心底思った銀時なのであった。
prev | top | next
back