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やっほー!わたし苗字名前!どこにでもいる平凡な女子高生!
…のつもりだったんだけど最近やたら変なものが見える。黒いモヤみたいなのからでかい虫みたいなものまで、気持ち悪いのが身の回りに現れるようになった。
最初はテスト勉強で疲れて幻覚でも見てるのかな?と思ってたけどどうやらそうではないらしい。
幼馴染の悠二くんにそれとな〜く「妖怪とか信じる?」って聞いてみたけどオカ研としての回答しか得られなかった。まあそうだよね。
そんなかんじで最近変なものは見えるけどなんとか見えないフリをしようと頑張ってます。

そんなある日の放課後、わたしは当番の日誌を書き終えて職員室に向かっていた。ただでさえ日誌の当番は面倒なのに今日はやたら書くことが多くて思ったより時間がかかってしまった。ツイてない。ノックして入ろうとしたときちょうど扉が開かれる瞬間と被ったようで、大きな身体に衝突。やっぱツイてない。

「お、名前じゃん。」
「五条先生!すみません…!」
「いや、僕もノックしてるの気づいてて開けたから」

気づいてて開けたんかい。このやたら背が高くて謎に目隠しをしてるこの男性は五条悟先生。わたしたちのクラスの担任だ。

「日誌今書き終わったの?お疲れサマンサ〜」
「はい。結構書くこと多い日と当たっちゃって大変でした…」
「あっはは!名前は真面目だな〜!こんなんテキトーでいいのに」

いや仮にも担任がそういうこと言っちゃダメでしょ。じゃあこれは一体なんのための日誌なんだか……

「今から帰るの?」
「はい、そのつもりですよ」
「んー、ならいいんだけど。」
「え、なんです?」
「いや、こっちの話。今日は早く帰りなねって言いたかっただけ。部活動の連中も今日は早めに帰らせてるし」
「はあ……用事も終わりましたし言われなくても帰りますけど……」

たしかにいつもこの時間はまだ野球部の掛け声がグラウンドから聞こえていてもいい頃だがそういえば今日はもう聞こえないな。先生達が帰らせたんだなあ。何か聞かれちゃいけない大事な会議でもあるんだろうか。

「じゃあ、わたしはこれで。」
「はい、また明日ね」

ひらひらと手を振る五条先生に一礼して教室に鞄を回収しに行く。あ、鞄持って職員室行けばすぐ帰れたじゃん……バカだなあ。今日はなんかうまくいかない日な気がする。
靴を履き替えて外に出るともうだいぶ日が傾いていた。
今日の晩御飯なんだろうな〜、とか考えながら歩いていて思い出した。明日が英語の小テストの日だということを。そして鞄に教科書を入れた覚えがないことも。
ミスった。盛大に。やっぱ今日ダメな日かもしれん。しかもよりによって英語て。他の科目の小テストならまあ最悪明日登校してから短期記憶でもなんとかなる気がするがなんてったって英語である。いや別に英語がめっちゃ苦手というわけではないが七海先生の小テストなのだ。“小”テストなのに普通に低い点を取りかねないのだ。めっちゃ面倒だが一旦教室に戻って英語の教科書だけ取りに戻ろう。七海先生、北欧の人の血が入ってるとかなんとかで顔立ちが整ってるから溜息をつく姿もたしかに絵になるけど自分のテストの点で溜息つかれるのは普通にイヤだ。
ダッシュで戻るぞ。帰った後に気づくのじゃなかっただけマシ、そう思おう。
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