碧落ラストコネクション


少年は走っていた。
数々の木製建築物を過ぎ去り、抹茶ソフトの店を通り過ぎ、大樹へと向かって足は進んでいく。黒いパーカーと赤い髪が風に揺れた。

その間も、ドンッ!と爆音は鳴り響いている。少年は、犯人は相当な数の爆弾を持っているに違いないと気を引き締めた。

その時、

「いやぁ流石ヒーローさんは足が速いですねぇ!」

「!?」

少年が走る左隣を、先程の少女が並んで走っていた。
思わず面喰らってしまう。結構な速さで走っているのに、まさか追いついて来たのだろうか。

「な、何でここに!?」

「ちょっと確かめたい事がありまして…それに、ヒーローさんの活躍をこの目で見てみたいのです!」


息ひとつ切らさずに話す少女に驚く。
もしかして、彼女もどこかの国の戦士か何かなんだろうか。


「…あまり、キミの理想に応えられる自信はないけど……」

「いいのですいいのです!自分のヒーロー道を歩んじゃってください!」


少年は少女を避難させることを諦め、2人同じスピードで目的地まで辿り着いた。その事実に驚きながらも、目前にそびえ立つ爆発で一部が焼け焦げた大樹に視線を集中させる。
するとその下に、小さな子供がいるのが見えた。


「ヒーローさん、あの男の子…もしかして住民じゃないのですか?」

「逃げ遅れたのか…!キミはここで待ってて」


そう言って少年は子供に近づいた。
子供の背の高さに合わせるように少しかがんだその時、

──子供が、怪しげに嗤った。


「ヒーローさん離れて!!」

「っ!」

ドンッ!!!!


少年が逃げるよりも早く、爆発が起こった。
オレンジ色の煙が大樹を包む。煙の一部に穴が開き、そこから少年は煙から離れるように飛び出た。


「ヒーローさん!大丈夫ですか!?」

「…大丈夫。少し腕を掠っただけだよ」


少女は右腕を軽く抑えて出てきた少年に駆け寄る。少年の負傷した手には背中に背負っていた赤い大鎌が握られていた。


オレンジ色の煙が完全に晴れて見えたのは、先程の子供。

太陽のように明るいオレンジ色の髪に、夏空のように濃い青の服。風に揺れる雲のように真っ白なマフラーをした子供は、大量の爆弾を手にしていた。


「……騙されたよ。まさか有名なテロリストがこんな所に攻めていたとはね」

「ヒーローさん、あの子は…?」


少女はオレンジ色の小さな子供を見て少年に問う。少年は少女を庇うように前に出た。


「黄の国出身のS級犯罪者だよ。史上最年少の天才テロリスト……名前は確か…ソレイユ・オレンジ」


ソレイユと呼ばれた子供は、少年の言葉に先程と同じようにニヤリと笑った。


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