碧落ラストコネクション


「僕のこと知ってんのかよ、お前。だったら話は早い……僕に殺されたくなかったら、さっさと逃げな」

左手で爆弾を空中に投げ、再び左手に収める。その余裕な態度に、少年は眉をひそめた。

「…爆弾はもう投げないのかい?」

「はァ?だーかーら、逃げる時間を与えてやってんの!わかれよ!!」


少年の背に隠された少女はふと思い出す。彼の言う“どうしても殺さなければならない悪者”は、目の前のソレイユの事なのか。
それとも…

「…逃げないよ。キミは俺が殺す」

「ふーん…お前、強いの?」

「さあ?…どうだろうね」

ソレイユは少年をじっと見つめて挑発する。少しだけ笑みを見せた少年は、そのまま瞬時にソレイユへと近づいた。

「(速い…!)」

ドンッ!!
少年が大鎌を振り下ろそうとした後、咄嗟に投げたダイナマイトが爆発する。
爆風で少年の攻撃から逃れたソレイユは、少年の真っ赤な髪を見て確信したように笑った。

「お前…“紅の修羅”か?」

「えっ、“紅の修羅”?」

ソレイユの問いに、少年の後ろに隠れていた少女が小さく声を漏らす。その僅かな音を聞き取ったソレイユは、少女に呆れた目を向けた。

「お前…んなことも知らねえのかよ。これだからガキは…」

「む!?少なくともキミよりは年上なのです!!ピッチピチの18歳なのですよ!?」

「へぇ〜僕11歳。じゃあおばさんだね」

「お、おば…」

「…俺も18なんだけど」


7つ下の子供におばさん呼ばわりされショックを受ける少女を見て、少年は苦笑した。少女と同い年であった事にも驚きである。

ソレイユはそんな少女を見下すかのように説明した。


「“紅の修羅”…この世界の郊外部に住む人間を全員、1人残らず皆殺しにした“世界最凶”と言われるS級犯罪者のことだよ。有名じゃん」

「知ってるのですよそんな事くらい!!ヒーローさんが“紅の修羅”なわけないって言いたいのです!!!」

「…っは、どうだか………」


再びソレイユは2人目掛けて爆弾を投げる。少年は素早く少女を抱えて爆発から逃げた。

その姿に、ソレイユはニッと笑った。


「…その速さ、赤い髪、何より…その目。人ひとり殺せそうな殺気の篭った目……“紅の修羅”の特徴と、完全に一致する」


ソレイユは少年を指差して言い放った。

「“紅の修羅”…僕はお前を殺して、“世界最凶”になる!!!」

ドンッ!!!!!


今までで一番大きな爆発に、大樹が大きく揺れる。そろそろまずいと思った少年は、少女をソレイユから少しでも遠ざけるため、別の木の下へ連れて行った。

「キミはここにいて。…絶対に動かないで」

「ヒーローさんは…」

「俺は彼を殺しに行く。終わったらソフトクリームのお詫び…また別の甘いものでやり直すね」

「あっ…!」


少年はそれだけ言い残してその場から瞬時に去った。ここから少し離れた場所にある大樹に、2人の姿が見える。

大鎌を扱う近距離戦闘タイプの少年に対し、ソレイユは爆発物を扱う遠距離戦闘タイプだ。自分の方が部が悪い事は、少年自身分かっていた。


「勝敗は見えてる…僕の勝ちだ。今のうちに降参しておくのが、身のためだぞ」

「…悪いけどそれは出来ないな。キミはひとつ勘違いをしている」

「勘違い?…っは、僕に間違いなんてねぇよ!!」


ドンッ!ドンッ!ドンッ!!

連続で投げられていく爆弾を、少年は次々に交わしていく。そのスピードに、少年は驚いていた。…けれど、追いつけない速さではない。

ついにソレイユの目前まで近づいた少年は、大鎌を思いっきり振り下ろす。確実に人の肉体に刃を入れた感覚はあった。……が、ソレイユは無傷だった。
少年の前で倒れて血を流すのは、今までこの場にいなかった、見知らぬ男。

「!?」

「ソレイユ…様……ご無事で、何より…です……」

男は蚊の鳴くような声で、ソレイユの無事に安息する言葉を漏らす。そのまま力尽き倒れる姿に、少年は息を飲んだ。

「……仲間がいたんだね」

「誰も僕1人とは言ってないだろ?……お前ら、全員出てこい!!!」

ソレイユがそう声を上げれば、大樹や他の木々から300人はいるであろう、大量の人間が姿を現した。

ソレイユよりも遥かに年上の男たちの集団に、少年は驚く。
こんなにも幼い子供に、これほどの部下がつくのか。

「相手は“紅の修羅”だ。けど大したことない。この人数なら勝てる…行け、殺せ!!!」

大量の人間が、一斉に少年を襲う。
少し離れた木の下から見えたその光景に、少女は思わず飛び出しそうになった。

ソレイユはその“一瞬”を見逃さなかった。


「(イイコト思いついた…!)」

ニヤリと笑ったソレイユは少女目掛けて爆弾を投げ飛ばす。まさか自分の方に来るとは思っていなかった少女は、反応に遅れてしまった。

「!!」


ドンッ!!!!



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