敦のしつこい求愛により、ふみは敦を好きな事を認め、付き合いだした二人であったが、ポートマフィアのみんなにそれがバレてしまい、あれよあれよと言う間に首領から「ふみちゃん、リストラね!」「え?」とリストラにあってしまった。
職を無くしたショックと双子の兄である龍之介に「人虎と別れろ。差もなくば家で飯など食わさぬ」と言われ、ふみはブチ切れて家を飛び出し敦の家に転がり込み、同棲し始めたのであった。
だが、いつまでも働かない訳には行かず、不本意だが己の苦手である太宰さんの計らいにより探偵社が入居するビルの一階にある、喫茶・うずまきで働き始めたふみであった。

そんなふみが仕事を終え、敦と共に住んでいる探偵社の社員寮に帰ろうと道を歩いているとふっと道の真ん中に泥団子の様な塊が落ちている事にふみは気がついた。

“子供が泥団子を作り、落としたのか?”そんな事を思いながらその横を通り過ぎようとした時、ふみの耳に「うー…うー…」と小さな鳴き声が聞こえた。

ふみは一瞬、自身の苦手な心霊現象か⁉︎と驚き、辺りを見渡したが特に自身の周りに異変など無かったが、ふっと視界の端で何かがもぞもぞと動いているのが見えた。
ふみは、ハッとその動いている物体に目線を移すと其処には、泥団子だと思っていた物体がもぞもぞと動いており、「うー…う…」と鳴いている事に気がついたふみは不思議そうにしゃがみ込み、そのもぞもぞと動いている泥団子を両手で包み込む様にして拾い上げると泥を指で拭った。
泥を拭うと其処には可愛らしい丸々としたフォルムのマスコットの姿があったのだが、普通のマスコットとは違い、温かい体温を持っており息をしていた。

「…人虎?」

 そして、そのマスコットの姿が自身の恋人である敦と酷似していた為、ふみの中でマスコット=敦=敵の異能でこの様な姿に‼︎と言う式が頭の中で思い浮かび、ふみはすぐ様、ぷるぷると震えだした敦似のマスコットを抱えると自身の来た道を走って戻り始めた。

 向かう場所は、武装探偵社である。
 探偵社であれば、敦をどうにかしてくれるかもしれない…。

そう考えたふみは、息を切らしながら全力で走ったのだった。


これが、もちあつとの出会いであった。

 其の後、探偵社に助けを求めたふみであったが探偵社に五体満足で敦が居た事により、手の中の不思議生物が敦では無く、ふみの勘違いであった事が分かるとホッとした様に胸を撫で下ろした。
敦似の小さな生き物も餓死寸前で動けなかっただけらしく、ふみに給湯室で体を洗われると敦が昼に食べる予定だったお茶漬けをその丸く小さな体でもぐもぐと食べ、完食までした後、助けて貰った御礼を言っているのか「うーうー‼︎」と鳴きながら頭をペコペコとふみに下げていた。
そして、何だかんだとこの敦似の不思議生物について話し合ったが正体が分からず探偵社社員・国木田独歩は、ふみに「元の場所へ返して来い」と言ったがふみは「可哀想だろう…こんなに小さいのに…」と言うと不思議生物を両手で抱えながら「人虎…飼っては駄目か?」と少し眉を八の字にして問い掛けると敦は直ぐ様、「OKです。飼いましょう‼︎」と返事をした。

 こうして、不思議生物は太宰により「もちもちと丸い敦くん似の生き物…よし‼︎名前は、もちあつくんにしよう‼︎」と名付けられ敦とふみと共に住む事になったのであった。