僕の名前は、もちあつ。
故あって泥だらけの餓死寸前で行き倒れていた所をふみさんに拾われました。
みんなは僕を不思議生物と言うけど、いまいち僕は自分がどんな存在なのか分かっていません。
何処で生まれたのか、何処からやって来たのかいまいち覚えておらず、唯、覚えているのはお腹がすいたのと何かを探していたことだけだった。
ご飯と何かを探し求めながら彷徨っている時は本当に辛かった。
だから、ふみさんに拾ってもらい、体を洗ってもらった後に敦くんがくれたご飯は、とっても美味しかったのを覚えています。
敦くんも好きなお茶漬けは、僕の大好物にもなりました!
その後、一生懸命、二人に御礼を言ったけど二人には僕の言ってることが分からないみたいで少し悲しくなりました。
そんな僕がふみさんと敦くんに拾われてから続けている日課があります。
それは、お散歩です。
僕たちの住む建物の隣にある空き地スペースを一周するだけのお散歩だけど、小さい僕にとっては、少しのスペースでも広く感じられ、たまに僕に名前を付けてくれた太宰さんがドラム缶にハマっている時があり、その時は急いで敦くん達を呼びに行ったりとお散歩をしていると様々な事に出会います。
そして、僕はつい先日の散歩で運命的な出会いを果たしました。
この間の日曜日の事。
僕は、いつもの様にお散歩に出掛けようと僕を気に掛けてくれる優しい二人に手を振るといつもの様に窓からジャンプして地面に着地するとトコトコと歩き始めました。
ガザガザと草を掻き分け、時には飛んで来たバッタにビビりながら散歩を続けていると、太宰さんが以前に自殺?する為に使用していたドラム缶が転がっているのが見え、僕は、なんだかそのドラム缶に吸い寄せられる様に近づくとそっとドラム缶の中を覗き込みました。
「……」
「…………」
「………………」
「………………?…っ⁉︎」
覗き込んだドラム缶の中にはふみさん似の小人さんが大きなバナナを一人でもぐもぐと食べている姿がありました。
僕の存在に気づいた小人さんは、急いで頬張っていたバナナをもぐもぐと噛み飲み込むと僕を睨みつけてきた。
「なんだ、きさまは」
「ぼくは、もちあつです。あなたのなまえは?」
僕が名前を聞くと小人さんは、少し黙った後に「なまえは、ない」と答えた。
「こびとさんは、ここにすんでいるんですか?」
「すんでない、たまたまとおりかかっただけだ。わたしにいえはない」
“どこからきたかも、わからない”
少し寂しそうに、そして悲しそうにそう言った小人さんは僕と同じだと思った。
敦くんとふみさんに拾われる前の僕と同じだと…
そして何故か、この小人さんから僕は目を離す事が出来ず、小人さんを一人にしては駄目だと思った僕は、警戒されない様にゆっくりと小人さんに近づいた。だが、小人さんも僕の考えに気がついたのか少し後退りを始めたが、小人さんが逃げるより先に小人さんの背後に回り込むと小人さんの首根っこをもぐっと口に咥えた。
足が浮き、ぷらーんっとなる小人さんを見て僕は少し笑うと小人さんはハッと我に返った様に「なにをするきだ‼︎‼︎はなせぇぇぇ‼︎」と暴れ始めたが僕は気にする事なく、小人さんを咥えたまま敦くんとふみさんのいるお家へと連れて帰ったのであった。
お家に連れて帰ると敦くんとふみさんは驚いた顔をしていた。
「なんだ、ここは‼︎」
「ぼくがすんでるおうちです、きょうからこびとさんのおうちでもあります」
「いっしょにすむつもりなどない‼︎」
「あ、あそこにおせんべいありますよ‼︎」
「⁉︎おせんべいっ…‼︎」
キラキラとふみさんの食べかけのお煎餅に目を輝かせる小人さんの表情を見て僕の胸がぎゅーっと苦しくなるのが分かった。
そう、僕が探していた物は、この小人さんだったのかもしれないと本能でそう思った。
だから、離れたくなくて…側にいて欲しくて…僕は無理矢理、連れてきたのです。
こうでもしないと、小さな小人さんは一人寂しく、消えてしまいそうな気がしたから…
そんな僕の想いがふみさんに通じたのか、「どうします?」と尋ねる敦くんに「飼っては駄目か?」と言ってくれたお陰で敦くんからあっさり許可がおり、小人さん改め敦くん命名・みにふみさんは、僕達と共に暮らす事になりました‼︎
「ちーちーっ‼︎」
「うーっ‼︎」
「今日も仲良しですね‼︎」
「仲良し…なのか?小さい私がもち人虎の上に跨り、乗り回している様にしか見えないが…」
「でも、もちあつ幸せそうですよ。僕の背中に乗ってみます?ふみさん」
「何か、変な感じに持って行かれそうだから断る」
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