「痛っ⁉︎ちょっと‼︎痛いよ‼︎みにふみちゃん‼︎」
昼下がりの出来事だった。
突然、武装探偵社内に太宰の痛がる声が響き渡った。
探偵社社員達は、太宰の痛がる声に首を傾げながら太宰の方へ視線を向けると其処には、もちあつに跨りケーキ用の小さいフォークで太宰の手をぶすぶすと刺す、みにふみが居た。
みにふみともちあつが何故、武装探偵社に居るかと言うと敦とふみは基本、朝から夕方まで働いており、小さな二匹を家に置いておくのは心配だと言う理由から敦とふみは武装探偵社社長・福沢諭吉に仕事が終わるまでの間、武装探偵社に二匹を置いてもらえるように頼み込み、許可を貰ったからであった。
その為、昼間は武装探偵社の空いている机の上で遊んだり敦や国木田や谷崎のお手伝い(判子押しなど)をしていた。
みにふみは、何故か太宰をあまり好いておらず、太宰が仕事をサボって居眠りしていたりするとその行動をまるで咎める様に悪戯を仕掛けたり、太宰の耳や頬を引っ張ってサボるのを邪魔したりするのであった。
そんな太宰に厳しいみにふみは、この間、良いものを手に入れた。
それは、ケーキ用の小さいフォークであった。
つい先日、敦達と共に百均に行ったみにふみは銀色の先が鋭く尖った普通のフォークより小さいケーキ用フォークを見て、キラキラと目を輝かせるとフォークを指差し「ちーちーっ‼︎」と欲しがったので敦が購入し与えたものであった。
家に帰り、値札を剥がしてからみにふみに渡すとみにふみは【みにふみは、ぶきをてにいれた】とばかりに誇らしげに手に掲げ その隣では、もちあつが「おぉっー!」と言わんばかり手をパタパタとさせていたのを敦は思い出した。
“まさか、サボる太宰さんを懲らしめる為に欲しがったのか?”っと敦は思った。
「うーうー‼︎」
「ちーちーっ‼︎ちっ‼︎」
まるで、サボるの駄目絶対‼︎と言う様に鳴き、そして太宰の手をぶすぶすとフォークで刺す二匹に太宰は溜息を吐くと根気負けしたのか「分かったよ、仕事するよ…」と机の上に置かれた書類に向き直ったのであった。
みにふみともちあつは、そんな太宰の姿を見ると満足したように太宰の机から離れ、国木田の机へと向かうと【やってやったぞ】と言わんばかり国木田に二匹はドヤ顔を見せた。
「あぁ、二人とも良くやった」
国木田は、二匹の頭を指で撫でるとポケットから板チョコを取り出し、二匹に与えた。
二匹は、ぺこりと頭を下げるともちあつは、板チョコを抱えたみにふみを乗せたまま、空いている机へと向かって行ったのであった。
「ちょっと⁉︎国木田くん‼︎みにふみちゃんともちあつくんを買収しないでくれるかい⁉︎」
「人聞きの悪い事を言うな。彼奴らは自主的に貴様がサボらない様に監視していたのだ。
俺は、その心に感動したから報酬をやった迄だ。きちんと働いている者にはきちんと報酬をやらんとな」
そう言うと国木田はジロリと太宰を睨みつけた。
嫌そうな顔をする太宰の斜め前の空いている机の上では、もちあつとみにふみが幸せそうに半分こしたチョコを頬張っているのであった。
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