私の彼氏は甘えん坊です。何を唐突に、と思うかもしれませんが、今この状況がそう言わずにはいられません。床に座っている私を後ろから抱き締めて、私の肩に顔を埋めて寝ています。2人の時ならまだしも、ここは幼馴染みの研磨の部屋です。ちなみに彼氏の黒尾鉄朗も幼馴染みで、昔から3人でよく一緒にいます。

「恵麻だって、オレの部屋でよくクロに抱きついてるじゃん」
「………」

すみません、惚気だったようです。いや、しかし、長い付き合いなのでいい加減落ち着いた関係にならないかと思うものです。

「ねぇ、鉄朗、てっちゃん、クロさん、黒尾さん、鉄次朗、て、」
「恵麻、うるさい。つか、最後の鉄次朗って何」
「名前読んでも反応しない人は鉄次朗で十分だよ」
「いや、鉄次朗に失礼だろ。疲れてるから寝かせて」
「疲れてるんなら、こんな体勢辛いじゃん。ベッドで寝なよ」

ほら、と言いながらベッドへ促そうとすると、研磨にそれオレのベッドだからと怒られた。えぇ、そうですよね、とゲームをする研磨を恨めしそうに見るが研磨はお構いなしだ。
私を抱き締めていた鉄朗の腕がより一層ぎゅうっと力を込めてきたものだから、どうかしたのか聞いたが、スリスリと埋めたままの顔を私の肩に擦りつける姿が愛おしくてキュンキュンしてしまった。私たちに倦怠期はくるのだろうか、と鉄朗の頭を撫でながら考えていると鉄朗から更に私の心を鷲掴みにする言葉が発された。

「恵麻を抱き締めてる方が疲れ取れるし癒されンだよ」
「えへへ」

だらしなく笑う私を見てか、研磨が吐きそうな顔してこちらを見ていた。

「ホントさ、自分の家でやってよ、そういうの」
「羨ましいんだろ、研磨。オレたちのこと」

鉄朗が私の肩に埋めていた顔をあげてニヤリと笑う顔は、学校やバレーの試合中によく見るそれで、私はこっちの方が違和感があるんだよね。

「クロってホントに恵麻といる時は別人だよね。気持ち悪い」
「恵麻は可愛いからな、好きだよ」
「私も大好き、鉄朗」
「さっさと倦怠期くればいいのに…」

幼馴染の研磨にはこの様に毎回酷い言われような私たちは付き合って10年ぐらいでしょうか。未だに倦怠期がくる気配はありません。

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黒尾さんは好きの安売りしなさそうなんですが、幼馴染みから彼女になったらそういう駆け引きはしないかなと思ったり。
2016.09.24


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