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「ただいま」
応えてくれる人はいないけれど。荷解きを済まさないと商売にならないので黙々と作業していると店のドアが叩かれた。
まだ店として機能していないので施錠してあるガラスのドアの向こうに黄色のパーカー。高校生の時に何度も見た六人の内の一人。
「ーーー!!ーーー!!」
「待って待って、聞こえないから!」
こちらからの声も聞こえてないだろう。ドアを開けると彼の顔がぱあっと華やぐ。
「花厳ちゃん!!!」
「十四松くん!!!」
激しく揺れる彼の長い袖を握るとその下の彼の手がぎゅうっと握り返してくる。実に高校生の時以来の友人は髄分と様変わりしていた。
▽▽▽
「これで終わり?」
「完璧。ありがとう十四松くん、手伝わせちゃってごめんね」
「いーのいーの!暇だったから」
そこそこあったはずの段ボールの山は畳まれてこじんまりとしている。私一人だったら結構時間もかかっただろう。十四松くんの持ち前の力であっという間に片付いてしまったので本当にありかたい。数年ぶりの十四松くんは高校生の頃とだいぶ印象が違っているけれど、そういえば時々こんな風にぽかんと口を開けていたっけ。
お茶を出せばいただきます!と元気に笑う。
「まさかこんなに早く遊びに来てくれるなんて思わなかったよ」
「まあ暇だし!」
「元気だった?今何してるの?」
「……」
「……ん?」
ヒュッと黙り込んだ十四松くん。ぱかっと開いていた口は長い袖で隠れてしまっているし、目付きはまるで猫のようになっている。
「十四松くん?」
「……あ、えーと……ま、いろいろかな!」
「いろいろ?」
「いろいろ!」
「そうなんだ……?皆は元気?」
「元気っすよ!いつでも遊びにきて!」
「あれ、皆一緒に暮らしてるの?」
「……うん!そう!」
「そうなんだ」
「そうなんすよ!」
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