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「よぉ、花厳」
「……げっ」
「なンだ?その反応」
暑苦しくも高そうな黒いスーツを着込んだこの男ーーー滑皮秀信。なんでこいつがこんなところに。チラッと公園の隅に目をやると威圧感のある車が止まっていた。怖。
「久しぶりだなぁ?元気にしてたか」
「座るんだ……」
「あ?」
隣にドカッと腰かけた滑皮。本人はそういうつもりがあるのか知らないが眼光は鋭い。見た目から完全にヤクザじゃん。これ端から見たらどう思われてるんだろ。
「めちゃくちゃ元気だよ。そっちは?」
「俺ンとこもぼちぼちだな」
「ふーん……食べる?」
パキッ、と半分に割る。差し出したアイスを受け取った滑皮は端っこを引きちぎると勢いよく噛み始めた。変わってないな、食べ方。
「お前昔からこればっかだな」
「これの良いところは分けられるとこだよ」
「お前今何してンだ?」
脈絡もない。話を自分のペースに持っていきたがるのはヤクザだからかな。明らかに幹部っぽい出立ちだから昇進したんだろう。
「金融」
「あ?どこのだ」
「…………カウカウファイナンス」
「あぁ?」
ズルズルと音を立てながらアイスを啜る滑皮の顔付きが一層険しくなる。だからせめて音さぁ。
「ウチがケツ持ちしてるって知ってンのか?」
「知ってますねぇ」
「テメェ、丑嶋の女か?」
間。
「…………あっははは!アハハハ、ハハハ!」
「何笑ってやがる」
「滑皮さ、私は社長の弱点には成り得ないよ」
「…………」
「こうやって友達として話くらいはできるけどさ」
ちゅう、と吸ったアイスはやっぱり美味しいカフェオレ味。まだ笑いが止まらない私に滑皮の手が空の容器を弄ぶ。
「ゴミはちゃんと捨てるからこれに入れてよ」
「テメェの器量なら親父に会わせてもいいんだがな」
「大丈夫です」
「俺が愛人として囲ってやっても良いんだぜ?そっちの方が将来性あるしな」
「滑皮んとこ全員お薬まみれじゃん!知ってるからね!無理!」
キメセクとか興味ないから!そんなの将来性も何もないからな!
「とりあえず連絡先教えろ」
「滑皮悪用しそうだから嫌だ」
「テメェに拒否権あると思ってンのか?あぁ?」
「……悪用したら速攻番号変えるからね」
とりあえず滑皮秀信(横暴)で登録しとこう。うん。はいはい。
「今度は美味い飯でも奢ってやるよ」
「自分で食べに行くんで大丈夫です」
「じゃあな花厳」
聞けよ。カッチリスーツの背中を見送ると車から舎弟が出てきてドアを開ける。姿はだいぶ変わったけれど、中身って中々変わらないもんだなぁと思いながらアイスをゆっくり舌で溶かした。
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