ふ、ふ、と揺れる呼吸の音を塞ぐみたく、唇を重ねた。伸びた腕が眠れない子どものようにぐずってケイを捉える。暴かれて弛緩した身体、キィニチの頬に涙が静かに滑り落ちていった。
「……俺もケイにしてみたい」
唇との間に指一本か二本だけ離した距離でぽつり、そう言った。
「気持ちよくできるかわからないが、その……がんばるから、俺にされて嫌じゃないなら、してみてもいいか?」
「いいけど……君はそれでいいの?」
大きく開かせた脚の間で、ケイは温かな孔に指を這わせた。既にじっくり解した中が質量に喜び、ちゅうっと柔らかく吸い付く。
肘をついてこちらを見ていたキィニチが「ぁ、ケイ」と焦ったような声を漏らす。思いがけない刺激に瞼がきつく閉じて涙が滲んでいる。時間はたくさんあるのだと、痛くしないように丁寧に丁寧に拡げられた。その後孔の官能を思い出したのか、キィニチは耳まで顔を赤くして首を横に振った。せっかく落ち着いた呼吸もまた弾んでいく。
前立腺を指で挟んで刺激すると痙攣したように轟いて淵にぎゅ[V:9825]ぎゅ[V:9825]と締め付けられる。こんなに気持ちよさそう。汗ばんだ肌を片手で撫でるとキィニチの腰が浮いてあえかな声が漏れた。
「ぁ……[V:9825] ぁ、まっ、けぃ、……んん[V:9825]」
力の抜けた上半身。シーツを蹴る脚を捉えてから、しこりを優しく撫でて押して、じわじわ追い詰める。声は次第に言葉の意味を失い、混じる息が荒れていく。
「きもちいい? ここ、好きなところ」
「……っきもちいい、ん[V:9825] いいから、ぁ[V:9825]」
きもちいい、きもちいいから、きもちいい、と繰り返される言葉。快楽から逃げるわけにもいかず、かといって拒否も示せず、声を出すことでしか逃げ場がないのかもしれない。ぐずぐずになった後は何度でも達することができるキィニチの身体。色の薄く柔らかなままの陰茎から察すると、雄としての快楽は拾っていないらしい。ふにゃりと倒れて揺れる様も可愛らしく見える。
「ぁ゙[D:12316][D:12316][V:9825]」
ぬかるんだ中の感触を楽しみながら指を動かした。入り込む時は人差し指と中指でふちを拡げつつ、入り込んでからは柔らかな壁を優しく引っ掻いて前立腺を押し上げる。その繰り返し。
「い、く[V:9825] ィ…っく、ぁあ、ァ[V:9825]」
余程気持ちいいのか、声が部屋中に満ちていた。熟れてふくれたふちから指は飲み込まれて、奥へ奥へと誘われる。
白い喉が突き出され部族のタトゥーが晒されて、誘われたように近づき唇に挟んだ。緑の菱形を舌で押すとひくりと揺れる。「あ、ぁ、……ぁ」と声が出るたびに振動が伝わった。面白い。
指を抜いた後もキィニチは全身がガクガク震えてしばらく力が入らないようだ。朧げな意識のまま、伸びてきた手が哀れで可愛くて、焦らしもなにもせず素直に指を絡め合わせる。
「さっきの、話だがっ……、俺も、ケイを気持ちよくしたい……、舐めさせてくれ」
元も子もない懇願にケイは吹き出して笑った。積極的で従順なんて最高だ。
「っふふ、はは。……ん、いいよ」
ケイはベッドに仰向きで寝転がり、キィニチが脚の間に座り込む。最後の確認というように揺れる瞳に見上げられたので、どうぞと促しておいた。
戸惑いがちに先端に唇を落とし、舌が竿を舐める。慣れない行為を手探りでする様子がまるで子犬、ナタ的にいうと子竜のようで可愛らしい。愛撫の快楽よりも小動物が必死で可愛いという慈愛が先に来てしまった。ケイは思考を切り替える。小言を言われるのは避けたい。
「……ん」
提供された口腔の温かさは心地よくて気持ちがいい。歯を立てないように躊躇して緩慢に頭が動く。褒めるように黒髪を撫でると嬉しそうに目を細めた。
窄めた唇がたまに解けて空気の音が鳴る。先走りと唾液が混じり合った水音がキィニチの口許から聞こえる背徳感に肌が粟立つ。一度口から出して、キィニチは両手で陰茎を扱いた。根元から亀頭のくびれまでをにゅるにゅる動かし先端に口づける。
「きもちいい、じょうず」
「ン、ぅん、っふ……」
とろり溶け出した表情で奉仕を続けた。
押し当てられた舌が鈴口をなぞり、ちゅう、と吸われ先走りを舐め取られる。それは普段、ケイが散々キィニチにしていることだった。
ところで、なにも言われないが味を変えてやった方がいいのだろうか──ふと、そんな考えが過ぎるが、今回は見送った。怒られはしないだろうが、勝手にして小言を聞くのは嫌だった。
根元を支えられた陰茎が飲み込まれて、キィニチは口蓋の柔らかな奥へ恐る恐る当てた。ぴたりとあわさり、喉がきゅう[V:9825]締まった。すぐに抜かれ、浅い位置で舐られてまた奥へ。苦しくない位置を探して、それでいて慣れようとしているようだ。されているケイよりも、施しているキィニチの方が行為に夢中になっている。
その姿を視界に入れて、ケイには悪戯心が湧き上がる。
「あ゙っ!? あ、いま゙っ、してるからッ」
後ろに肘をついて上体を起きあがらせたまま、片足でキィニチの股を探った。半分だけ勃ち上がった可哀想な陰茎を捏ねれば離された唇からよがった声が溢れる。
「ん[V:9825] っ、ぁ、[D:12316][D:12316][V:9825][V:9825]」
「……んふふ、勃っちゃったね」
足の指で竿を扱くと畳んだ腰が逃げていく。追いかけて撫で優しく踏みつけると、びくりと下肢を震わせた。柔らかさの残っていた陰茎は、熱く硬さを増して足の裏で脈を打つ。揺れる腰は次第に新しい刺激を求めて擦り寄って来た。きっと無意識に。積極的で従順で、快楽にすっかり弱くなってしまったキィニチだ。
足の裏全体が先走りで濡れて、細やかな音が聞こえる。快楽に耐えようとぎゅっと瞑った目で身を硬く小さくして波が過ぎるのを待っていた。
その頑張りに笑いが漏れた。息の温もり、滲んだ汗、伝わる微かな震え。全てが手に取るように感じられる。
「ね。口、離れてる。ちゃんとしてよ、したいんでしょ」
「[D:12316][D:12316]っ[V:9825] ん、んッ、ぉ」
痛くない程度に髪の毛を引っ張る。ケイの言葉を受けて顔を真っ赤に染めて、必死に熱の塊を収めようと柔い唇のまま亀頭を包む。ただ先ほどのように上手くいかぬようで、だらだら分泌された唾液が陰茎にまぶすだけになっている。濡れた瞳はゆらゆら揺れていた。かわいい。本当にかわいい。
「苦しくしていい?」
キィニチが口に含んだまま訳もわからず僅かに頷く。混乱と苦しさの中、いつのまにか表情は恍惚なものへと変化していた。
ケイは三つ編みの解いた頭に手を当てて深く飲み込ませるよう誘導する。僅かに腰を上げれば柔らかな奥へちゅう[V:9825]とぶつかる。
「……ぉ゙[V:9825][V:9825] ん゙ッ」
「……ぁ、……はは[V:9825] きもちいい……」
感触を楽しむように先端をそのまま押し当てて、数回突いてから解放する。浅いところだけを含ませて舌で舐めさせた後、また奥を目指して入り込む。必死に耐えようとするキィニチの肩や腰が戦慄き、反射で足が暴れ出した。シーツが擦れ乾いた音がする。
「ッ、……ッッ、ん゙、ぉ」
抵抗するのに一番使えそうな腕を、キィニチは邪魔にならないように自分の胸の前で大人しくさせていた。そんなだから、食い荒らされるのだとケイは笑う。ベタベタの顔が可哀想だ。
まっすぐに差し込んでトンと壁にぶつかると、喉が狭まって気持ちいい。ケイは滑らかに濡れた肉の感触を楽しむように往復させた。頭が逃げぬように後頭部を固定して、奥に入れ込んだまま打ち付けると異物を追い出そうと轟く。抗う力を感じながら無理に進んで圧迫を楽しんだ。
キィニチの必死に耐える姿が面白可笑しい、大好き。嗜虐と好意と快楽が意味のわからない塩梅で思考を巡っている。シーツを叩く音が大きくなったところで押さえつけていた頭を解放した。酸素を求めてキィニチは大きく息を吸い込む。
「っは、はぁ……! ん[V:9825] ……ぅ、ん゙、んん……、[D:12316][D:12316]っ[V:9825]」
くぐもった声にうっとりとした甘さが混じる。
キィニチは呼吸が整う前にまた自らで陰茎を口に含み、進んで亀頭を奥に当てた。えずきそうになりながら涙を溜めて吸い付いてくる。
「……偉いね、いいこ」
上手くできるように髪を梳きながらゆっくり頭を押した。最初より慣れたのか亀頭のエラが窄まったぬかるみを削いでいく。粘度の高い唾液に包まれて、苦し気な声と共に水音が部屋に散らばった。
ケイの開いた唇からも掠れた熱い息が漏れる。じわじわ齎される悦に高みを目指すように。
「[V:9825][V:9825] ……んむ、ぅ゙……、ん゙、ん」
腰を押し当てると揺れていた頭がぴたりと止まる。逃げぬように捕まえてもキィニチは大した抵抗一つしない。
半身を起きあがらせて肩を軽く叩いた。
「ん[V:9825] れ、ぇ? ん、」
赤い舌が覗く。滴る唾液。引いた糸をそのままに、どうしてと視線を向けられる。
ケイはベッドに座りキィニチの脇に手を差し込んで持ち上げた。脱力した身体を膝に乗せて抱きしめながら口づける。あやすように、ただ肌同士を密着させるように。もちろん美味しくない。
隙間ない抱擁にされるがままのキィニチは、とろりと目を溶かし込んだ。
「苦しかったよね? ごめんね」
その実、謝罪の気持ちも篭らない薄情な声。問いと謝罪を受けてキィニチは緩慢に首を振った。冷静に、悪いとは思っていないが、怒る権利はあるのにと思わなくもない。苦しいが、嫌ではなかったということだろうか。
けぶる睫毛が上下に揺れて、最後の涙が頬を伝う。塩辛い水に吸い付いて、頬にもキスを落とす。瞼、鼻先、と巡ってまた唇。あやして宥めていると、どうしたらいいのか迷って後ろに引っ込んでいた舌がケイの唇を撫でる。一度、突かれたが余熱を残す前にすぐに退いた、けれどすぐに二度目もちょん、と触れてきたのでケイは加虐を枯らした穏やかな気持ちで笑う。ふふ、とあわさった肌を離して声を出すと、なぜ離れるのかと責めるように唇を重ねられた。仕方ないので鋭さの片鱗を隠して柔らかさや優しさを纏い、伸びてきた舌を歓迎する。
「……ね、挿れたい」
柔らかな耳たぶに歯を立てた。震えた身体ごと抱きしめて、吐息を流す。腰を撫でるとぴくぴく物欲し気に揺れ肯定が示された。
「っぁ、ん……、けい、ほしい」
遠慮気味に、しかし意見は濁さずにキィニチはいつだって明確に教えてくれる。
「ふふ。もっと、気持ちよくしてね[V:9825]」
キィニチを膝立たせて陰茎を添え、ゆっくりと熱を掻き分けた。よく慣らして充血したふちは、亀頭を締め付けながらも呑み込んで誘う。エラが前立腺を乗り上げて奥の奥まで飲み込まれる。待ち望んだようにちゅう[V:9825]と内に吸いつかれて腰がぶるりと震えた。
「……っはぁ、あ」
「ん、あ、[D:12316][D:12316]ぁッ[V:9825]」
ケイは後ろに寝転んで背を丸めながら身悶えるキィニチを見つめた。健康的で瑞々しい肌をどこもかしこも染め上げている。涙が落ちることも厭わずに官能に浸っているように思えた。
腹へ埋め込んだ圧迫感が馴染むのをケイは待った。詰まった呼吸は次第に落ち着きを取り戻す。キィニチが夢見心地の顔で高みを求め、自ら腰を振る。粘りが奥で絡み、伝う熱さが増していく。
支えるように小さな尻を両手で持ち前後に動かした。形に沿って密着した中をこそぐと乗った上体がぐらぐら怪しく揺れる。なんとか倒れ込まないように腕を伸ばして耐えているが、難しそうだ。
「動ける?」
「っうごける」
動けるか聞かれたので動けると答えたようだ。その割にやけに精悍な声だった。
脚を折り曲げて足をつけて、慎重に体重を持ち上げる。浅く数回動いて、深く呑み込もうとしたところで腰が震えて思うように進まない。「あ、あっ」と整った眉を垂らしながらなんとか収めた。
「イ、あ、ぁ[V:9825] いく[V:9825]」
自重で深みを刺激されて、とてもよいらしい。根元が食むように絞られて、周りの粘膜は竿にしゃぶりつきめちゃくちゃな動きを見せる。ケイは奥歯を噛み締め目を細めて快感に耐えた。
「……ッ[V:9825] え、っん、ぁ[V:9825] ……け、むりだ」
ケイの上にキィニチが倒れ込む。力強さは放り出され、可愛らしさや弱さをあざとく押し出してきた。心もとない声と共に強請るように孔がきゅう[V:9825]と締まる。
「ん……、君さ……もう、かわいいな」
頼りを求めるように縋りつかれれば、それ以上頑張れとはとても言えない甘さをケイは持っていた。文句一つ、思い浮かばなかった。近づいた頭を撫でるとキィニチは心地よさそうに瞼を狭める。
「ん、早くうごいて、奥、おくうごいて、ほしい」
「はいはい」
「んっ、たのむ、おねがい」
解消されない疼きに耐えてどうにかしようとした末に、なにも成せていない姿が胸を打つ。謙虚で潔癖な男が崩れ落ちる瞬間もよいが、我儘に甘えてくる様もよい。
「ん、……んっ、あっ、ぅ[V:9825]」
くっついたついでなのか、首や胸元に無数に口付けられた。遠慮気味に皮膚が歯に食い込んでじわりと痛む。「跡を残さないから、これくらいは許して」と声なき声で縋られているようだ。
健気な姿に煽られて、脂肪の少ない尻を揺らしながら下から突き上げる。頑丈さを信じて根元まで咥えさせて擦り上げて内側を暴いた。思い出したかのように前立腺をエラでそいで押し潰す。キィニチは悩まし気に眉を寄せて、たまらないと睫毛を伏せた。
「あ、あ、そこ、すき、ぁん゙」
腰を上げさせて浅いところを抜き差しする。ふちはきゅうっ[V:9825]と締め付けてくるが、越えるととろとろに柔くなる。しこりに先端をぶつけながらズリズリと抽挿すると、ぬかるんで拡げた場所が懸命に寄って締め付けてきた。赤くなったふちが、いやらしくめくれている様を想像する。哀れ、可哀想、かわいい。こんなになってまで、好きだなんて、どうにかしている。
「っは、ぁ、ん゙[V:9825] んぅ[V:9825]」
きっと他の誰にも覗くことが叶わない痴態を見上げる。息が弾む、草木と共に生きる人間の清潔な香りと、汗の湿った温度が脳に伝わる。
「っ、はぁ、いいね」
「……あ[V:9825] あ、あ[D:12316][D:12316]っ、ん゙ぅ[V:9825][V:9825]」
浅いところの締め付けを楽しんだ後にゆっくり焦らしながら入り込んだ。最奥にトンと亀頭がぶつかると、じゅ[V:9825]じゅ[V:9825]と吸い付く。歓迎するような甘い刺激を追いかけて腰を持ち上げ落とし、興奮で考えが纏まらないまま更に奥へと入り込もうとする。馬鹿になっているのだ、つまりは。
「ぅ、ぅあ、ん、っふ、……ぅッ」
突き上げると留めておけなかった声がほどけて落ちる。こういうおもちゃ、ありそうだと場違いに考えた。
動く度に引きずられる肉のひだが懸命に絡みつき纏わりついて気持ちがいい。間に阻むものはなく動きを直に感じ取れる生々しさを、きっとお互いが思っていた。背を丸めて、反って、なんとか耐えているキィニチの限界が近いことがわかる。懇願するような瞳を向けられる。
「け[V:9825] ぁ! いっちゃ、いッ[V:9825] ぉッ[V:9825]」
「っふふ、いいよ。奥、ん、ぐりぐりしてあげる」
「ぁ゙[D:12316][D:12316]っっ[V:9825][V:9825] ぁう」
意味の持たない言葉にどうしてこうも昂るのか。キィニチの体躯が跳ねるのを抱きしめて押さえつける。がくがく揺れる腰は意思を通していない。達することで締め付けは強まり、熱と快感の頂で完全に呑まれていく。我慢を失った艶のある声はただひたすらに部屋を満たした。
「ん……、はぁ、は、……ぁ[V:9825]」
閉め切った窓からの向こうでは生命たちは眠りに落ちている。静かな夜の部屋の中で、唯一動く二人の温度。抱き寄せた身体の呼吸と体温、境界線をぼかしながら熱を交わし合う。
「ね、もう少し、がんばれる?」
「ん、ん[V:9825] んんッ」
ケイは一度抜いてから上体を起こし、細く筋肉のついた両膝を持ち身体を持ち上げた。落ちないようにキィニチの腕が首に巻きつき、寄せられた顔からはほどけた吐息が耳にかすめる。触れあった胸からは鼓動が走り抜けていた。
先ほどまで自分が寝転んでいた場所に降ろしてから、一つ口付ける。離れて、視線をあわせてからもう一度啄んだ。腫れた唇が濡れている。「けい」と無防備に呼ばれれば何度でも唇を重ねたくなった。覚束なくて、あやふやで、宝物みたいに言う。呼ばれるのが嬉しかった、当の本人は落ちた髪が擽ったいらしくキスの隙間で笑っていた。
ケイは指で後孔を拡げ陰茎を添える。ぐずついて物欲し気なそこは簡単に呑み込んで、むちゅ、と絡みつく。
「っは、ん、ぁ[D:12316][D:12316]ッ[V:9825][V:9825]」
とろけた深みをちゅ、ちゅと突くと、むずがる子どものように身体が暴れた。突き出された胸がちょうどケイの視界に入ったので、小さなぽつんとした先端を指でつまむ。一瞬、キィニチは息を飲んで止まり、びくびく[V:9825]と全身を大きく震わせた。浮いた足が伸びて強張る、軽く達したらしい。中がぐにゃぐにゃとうねった。ゆさゆさ揺らしながら先を捏ねる。
「ぁ、あ![V:9825] ん、ちくび、きもちいい[V:9825] きもち、いぅ」
薄い胸を手のひらで覆い揉みながら触れると、キィニチは辺り全てが性感帯のように身悶える。君は本当にそれでいいのかと問いたくなる冷静な気持ち半分、嗜虐を含んだ捕食者の気持ち半分。どちらにしても言葉には出さず、短い空気が喉を過ぎた。
「っはぁ、は、……ん」
「すきぃ、けい、け、けぇ、すき」
「ん、すきだよ、すき」
「んく、ん[V:9825][V:9825]」
滲んだ瞳いっぱいに涙を抱えながらキィニチはずっと見つめてくる。好む対象を視界に入れておきたいし、くっついておきたいのだろう。ケイは知っている。そんなところも赤子のようで可愛い。
仰向けの細腰を両手で持ち上げる。
「けい、ぁ、っあ、ぁん、んんン[V:9825][V:9825]」
浮いて抵抗もできない尻に熱の塊を打ち付けた。先の快楽を引きずったままの陰茎はキィニチの腹を汚している。精液か先走りかわからない、どろっとした液体。後で触ってあげたいと、ケイは己の唇を舐めた。
「ん、あ、あ、あッ、あぁっ[V:9825] ぃ、く、ぅ[V:9825]」
ぱちゅ、ぱちゅと水音が声の合間に響く。キィニチは受け入れるまま必死に枕を掴みなんとか耐えていた。
普段は好まない狭まった思考が情欲に塗り潰されてばちばち視界に光が飛ぶ。絶頂へ至ることしか考えられない。理性を捨てた貪る動きはケイに悦を齎した。
腰とキィニチの尻とがぴたりと密着してしまうほど深くに挿入し、中を犯した。
「ッッ[V:9825] けい、いっく、ぅ[V:9825]」
「んっ、ぁ、っは」
「ぁ、[D:12316][D:12316]ッ[V:9825] でて、あつ、[V:9825] んっ」
熱が弾けて白濁が奥を汚した。ちゅう、ちゅむ、と食んだ動きに吸い取られていく。腰が溶けそうなほどの快楽にそのまま逆らわず、緩く揺らして壁に塗りつけた。
「ぁ、ぁ、け、けぇ、んん」
気持ちいい、ずっと入れたら面白いのに。
少しの間、ぼやっとしていたが呼吸を深くすると酸素が周ったのか正常に戻る。前髪が張り付いて気持ち悪い。
キィニチの身体を楽に寝かせてから額を拭うと、大きな二つの瞳は相変わらずこちらを見ていた。今の馬鹿になっているところを見られていたと思うとやや恥だ。いや見られて恥ずかしいところなどないので、恥ではない、ないのだが。
ケイは始まってもいない話題を変えるようにキィニチと向き合う。
「ね、思ってたけどさ。すごい、ガチガチなの、辛いでしょ。触ってよかったのに、よしよし」
「……は、……ぇ、あっ[V:9825] あ、ぁっ」
「きもちいね。きもちいい、きもちいい」
視線を下げると触れていない陰茎からだらだら白濁が流れていた。けれど硬さはそのままなので、生命の謎を感じる。純粋な若さとは恐ろしい。流石にここで放り出すのは魔王でもしないだろうと判断し、慰めるように手で包んだ。可哀想。
「ん、ん[V:9825][V:9825] あ、ぁ[V:9825]」
「上手じょうず。もう少し」
わかりやすい快感が襲っているのだろう。縋るように抱きつかれることに気をよくして口づける。大丈夫だよ、上手だからね、そんな毒にも薬にもならない言葉にキィニチを惑わし続けた。あやすように笑いかけて竿を扱く力を強める。
「で、そ……あっ[V:9825] あ、ぁ……っ!」
ぶるりと震えた末に出た精液は勢いがなく、だらだらと伝うものだった。溢れ出た白濁を指で掬って竿に広げる。もっと出そうと鈴口をくにくに親指で潰すとキィニチはすぐに音を上げた。
大方出し切った後、支えを失ったようにふにゃりと柔らかくなったものに満足して魔法で全てを片付けた。身体のべたつき、特有の空気、濡れた寝具。
「辛いと思ったら言っていいし、触りたくなったら触っていいんだよ」
ケイでは感情に気づけないかもしれないし、遠慮なく好きに動いて欲しい。焦らしたい時はダメと言うので、我慢も極力しないで欲しい。生命として身体に悪そうだから。
全身を深くベッドに沈ませたキィニチが期待の目でケイを見た。
「ん……、さわって、欲しかったから。ぜんぶ。まってた」
「……それは……気持ちに気づかず悪いことをしましたね。ほんと……きみなぁ……」
魔法使いの国であれば、そんなことを言ってくる奴はいないので今でも面食らう時がある。手放しの信頼の上で成り立つ我儘だから。
「それにリゾートから帰って、ケイが帰らない日の方が辛かった」
「? ぅえ? つらかった?」
「嫌になって出ていったと思ったが、ナタにはいるようだし、会いに行ったらただ本を読んでいるだけで拍子抜けした」
「ただ、キィニチ帰ってくるの待ってて、いつのまにか帰ってきたなって思って」
思って、ふらふらしていた。その時にすぐ帰ればよかったのに、遠くから見つけて満足してしまったのだ。
キィニチと過ごす習慣はキィニチがいないと成り立たないので、いなくなる期間が長ければ長いだけきっと北の生き方が出てくるのだ。思い返せば、フォンテーヌへ行っていた時はまめに届く手紙で繋がっていたのだと思う。なんだかんだ届く文字は活字中毒のケイに読まれるよう工夫して書いてあったような。言われて気づいた。確かに、なるほど。物理的な距離を何度も不安にさせて申し訳ないと、ケイの良心が珍しく痛んだ。
「だから来年も俺といたいって、言ってくれて嬉しかった。俺たちは先の言葉をあまり言わないようにしているだろ」
「は、僕だって言うよ、そのくらい。君の言った『ずっと向こう』どころか遥か先だってこの日を覚えてて、祝うくらいの甲斐性はあるよ」
小さな人間の小さな我儘なんてどれだけ叶えてもケイの思う強欲には程遠い。その程度のこともできないなんて魔法使いの名が廃る。
「やっぱり、貰いすぎだな」と冷静に物を言う奥で、収めきれないほどの甘やかさや期待で膨らんでいた。キィニチはせめて悟られまいと顔を背け、安住の地を求める子どものように毛布の中へと潜り込んでいった。
「ケイが、どこにいるのかすぐわかるようにしたい」
「シトラリとかそういうの得意そうじゃない?」
「……、……。……そうかも、しれないが、……ケイのことで、彼女に頼むのは気が引ける」
「? そう? んん……」
「ねんそ、を付けれて、それで探せたらいいのにと思う」
「付けれるの?」
「つけていいのか」
「別に。後ろめたい場所に行かないし。君がしたいなら」
「……それは、『俺の』って印にはならないのか?」
「えぇ……? んん? たしか、に? あ、噛まないで、許してない、許してないから。あは、あははくすぐったいよ」