ダズのホルードのマッドショットによってバトルは始まった。最初の方はケロマツも応戦していたのだが、アームハンマーが直撃したことにより押され気味になる。
倒れたケロマツを抱えたサトシにフルパワーのアームハンマーが直撃すると思ったその時、コフーライが体当たりをしてバトルに参加した。
そしてホルードとのバトルの合間にコフーライが落ち着きがなくなりその場をぐるぐると周り始めた。
「あれ、どうしたんだ?」
「確か、コフーライが落ち着きがなくなったときは!」
『進化ね!』
コフーライを白い光が包んだあと、その光の中から紫の模様のビビヨンが現れた。
「すげー!」
「ビオラさんが持ってたビビヨンとは違う模様だ!」
『とっても綺麗。今、スケッチブック持ってたらなあ』
進化したビビヨンの美しさは今の状況を忘れるくらいだった。
「これや、この輝きがビビヨンの値段を釣り上げるんや!コフキムシとコフーライはまさに金の成るポケモンだずなあ!」
「ポケモンをお金儲けの材料としか見られないのか!」
「やかましいわ!とっとと邪魔なガキを始末したるんや!マッドショットや!」
ホルードのマッドショットはビビヨンの神秘の守りによってサトシたちに当たることはなかった。ビビヨンはホルードに対して痺れ粉で反撃するとホルードは地面に倒れ、戦闘不能になる。
ホルードが使えなくなったと思うとダズは網を使ってビビヨンを捕獲しようとした。するとダズの腕にロープが巻きつけられた!
「ジュンサーさん!」
「待たせちゃったわね!」
ロープに引っ張られながらも抵抗を続けるダズにビビヨンが近づき鱗粉を振りまいた。するとダズのさっきまでの威勢はなくなりへろへろになってしまった。
「ビビヨンの鱗粉には闘争心を抑える効果があるんです!」
「さあ、観念しなさい」
ジュンサーさんがダズを逮捕している間にサトシとケロマツは私たちを網から助けてくれた。
「ケロマツ、網の口を緩めるんだ!」
『ケロマツ。ゆっくりお願いね?』
サトシはセレナたちの網を、ケロマツは私の網の口を緩める。サトシによって一足早くセレナたちは網から開放される。
そしてケロマツも私達の網の口を緩めてくれる。だが、しゅるっと勢いよく1本の紐が抜けて全体のバランスが崩れるとシトロンと私は一気に地面に落下した。
『きゃっ!』
「うわぁ!」
地面にぶつかる、そう思って全身に力を入れる。ドスンという音とともに来る体の衝撃は地面の硬さではなかった。
「いたたた、」
『あれ、あんまり痛くな…っ!』
目を開けるとシトロンが私の下敷きになっていて、私を抱きかかえるような体制だった。ぶわっと顔に熱が篭って、シトロンから勢いよく離れた。
『シトロンくんっ、ごめんねっ?い、痛かったよね?』
「いえ、大丈夫ですよ。ナマエこそ怪我はないですか?」
つなぎに付いた土埃を払いながらこちらにそう言うシトロン。どぎまぎしてシトロンくんが見れず地面を見つめる。
「ナマエ?大丈夫ですか?本当はどこか打ったんじゃ」
『ううんっ、本当に大丈夫だよ!シトロンくんが庇ってくれたから!』
私を心配して近づいて話しかけてくるシトロンくんに今のドキドキがバレないように必死に言い訳をする。そしてそのために顔をバッと上げた。
顔を上げたときシトロンくんと私、お互いに静止した。お互いの顔の距離が今にもキス出来そうなくらい近かったから。
一気に顔の温度は上昇しマトマの実を食べたくらいになる私、と少し遅れてじわじわと状況を理解して赤くなるシトロンくん。
数秒硬直状態が続き、先にそれを破ったのはシトロンだった。
「す、すみません!ぼ、僕としたことが」
『う、ううん。シトロンくんのおかげで怪我もしなかったし!ありがとう!』
「ん?シトロンとナマエどうしたんだ?2人とも顔が赤いけど、どこか怪我でもしたのか?」
『な、何でもないよサトシ!ケロマツもありがとう!』
「は、はい!何でもないです!ありがとうございます!」
慌てふためいてドギマギしている私達をセレナとユリーカはニヤニヤと見つめていたのを私は知らない。
*
「さあ、みんな!もう自由だぞ!」
ダズを逮捕したあとジュンサーさんと協力してコフーライをケースから出してあげた。
アジトの中には思ったよりもたくさんのコフーライたちが閉じ込められていて、悲しくなった。
その子達を1匹1匹外に出してあげる。幸いにも弱ってる子はいなかった。
みんなで手分けして作業していたが、数が数なので夕方までかかってしまった。
サトシがコフーライ達に声をかけると嬉しそうに鳴いた。そしてビビヨンもコフーライ達に近寄って何か会話をしているみたいだ。
「ビビヨンも仲間と会えて嬉しそうですね!」
「本当に良かったねみんな!」
『そうね、これからはのんびり暮らしていけるね』
私たちがそう声をかけるとコフーライたちを白い光が包んだ。その場にいた全てのコフーライがビビヨンに進化したのだ。
ビビヨンの羽の模様は様々で、夕日に照らされてとても綺麗だった。そしてビビヨンたちは羽を大きく広げ飛び立っていく。
その光景に言葉に表せないくらいに感動した。スケッチブック持ってくれば良かった、と後悔するくらいには描き残したいと思う景色だった。
「みんな元気でな!元気でな!また会おうな!」
「なんて素敵なの」
『本当にスケッチブック持ってくれば良かった…』
「心のキャンパスに記憶しておきましょう」
『そうだね』
シトロンがそう言ったので、今の景色を目に焼き付けようと思った。
一時はどうなるかと思ったけど、みんなと旅をする事でこんな素敵な景色を見れるなんてカロスに来て良かったと心からそう思った。
それにしてもさっきシトロンくんと顔が近かったなあ。意識して欲しい気持ちはあるけど流石にさっきのはびっくりした。ドキドキしてたとはいえ変な態度を取ってしまったし。
私は皆がビビヨン達が飛び立つのを見ている隙にちらっとシトロンくんを見た。
するとバッチリと目があった。どうやらシトロンくんも私を見ていたようで。またさっきのことを思い出してドキドキして視線を思いっきり逸した。
なんでシトロンくんが私を見てるのよ、もう!
私がその後2.3日まともにシトロンくんと目を合わせられなかったのは言うまでもない。
to be continued…